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尾身会長「今を救うのは若い世代」の理由

2021年1月21日 15:20
尾身会長「今を救うのは若い世代」の理由

2度目の緊急事態宣言が出て10日あまりがたった今月18日、尾身会長は日本テレビの単独インタビューに答えました。素朴な疑問をぶつけるなか、何度も強調したのは「今の状況を救うのは若い世代」という言葉でした。若い世代に伝えたい「5つのポイント」、その真意とは?

■緊急事態宣言の効果は?
尾身会長
「効果を判定するのは、来週の末ぐらいまでかかると思います。ただ、人の流れも減ってきていますし、一体感が少しずつ出てきているので、ぜひ私は期待したいと思う。でも、これからが勝負だと思います」

■前回の緊急事態宣言と比べると規制が緩い?
「前回の緊急事態宣言の段階では、この新型ウイルスのことを全く分かっていなかった。ところが今回は、この病気の特徴として、ほとんどの人が感染しても症状が軽いということも分かっているし、食を介してうつるというのも分かってきたし、マスクの着用がかなり有効だというのも分かってきた」

「いろいろなことが分かってきたので、前と同じことをやるよりも、むしろリスクを高いところに集中して対策をやるという方が効果があるということで、ここまで来ると外出の自粛はどうしても必要なので、今は『昼夜を問わず、不要不急の外出は控えて』とお願いしています」

■解除の基準の目安について
――分科会では「ステージ2を目標に下げることが必要」としていて、政府は「ステージ3」、東京都や西村大臣は「500人」が解除の目安としているが、どれを重視したらいいのか?

「数字も大事ですが、私が申しあげたいのは、それよりも明らかに医療体制、保健所の負荷がどれだけとれているか。それをステージ3相当に下ろすこと、その次にステージ2までいくような見込みがあるというのも重要です。『ステージ3にいったから良い』ではなく、『ステージ3にいって、しかも改善されている』という傾向が大事です。そういうことを考えての解除を…医療体制あるいは保健所の体制で負荷がとれていなければ、それは目的を達したことにはならないです」

■「緊急事態宣言そのものが感染を下火にする保証はない」という言葉。その意味は?
「4月とは違い、症状の出方とかはっきりと分かったということがありますが、感染症の対策上、一つ大きな違いは、『慣れ』が出てきて、自治体や国からの要請や行動変容の要請に対する協力が、明らかに得にくくなっていることです。分かりやすい、みんなの心に響く、『なるほど。そうだ』というメッセージじゃないと伝わらないということです。(緊急事態宣言を)出したから無条件でうまくいくということではなく、そこには政府や自治体のメッセージの出し方も重要です。それに今、応えて、いろいろな環境を作ってくれていますよね」

「お金の問題、法律の改正ということも。それに一般市民も応えていただきたいし、応えてもらえるようなメッセージの出し方も必要。そこが私は今、最も重要なポイントだと思っています」

■「接触8割減」のような分かりやすいメッセージ、今回はないのか?
「ぜひ、5つのポイントを伝えたいです。1つ目は、もうすでに医療崩壊というのが始まってしまっていて、若い人だって盲腸などの病気になったり、ケガをしたりする。普通だったらすぐに緊急外来にいけるが、そういうことが、もうすでにできにくくなっていること」

「2番目は、このウイルスの特徴。感染しても、特に若い人はほとんど症状がなかったり、軽症なんです。これが特徴です。少し時間差があって、感染が高齢者施設、病院、家庭に…と感染が伝播し、それによって重症化が起き、医療の崩壊につながっているという一面が間違いなくある」

「3つ目は、若い人は高齢者に比べて感染しても重症化しないのは明らかで、たしかに重症化する人は少ないが、後遺症が残る人は結構います。脱毛したり、神経症状がかなり続いたりということがあるので、それに気をつけてほしい。そういうこともあるのだと知ること」

「4番目は、この1年近くの間、コロナのために経済も大変疲弊しています。GDPもそうですし、職を失う人、特に非常勤・非正規の人にも影響があり、ますます若い人の仕事のチャンスが減ってくるということもある」

「最後に一番大事なことですけれど、若い人のちょっとしたことで日本の医療を救えるし、一番の立役者になれるとういうこと」

「ぜひ5つの点をやって、高齢者の命と日本の医療、日本の社会を救えるんだ!というメッセージが、若い人の間で伝わってくれるとありがたいです」

■新型コロナによる様々な制限、いつまで続く?
「いつまで続くとははっきりいえません。苦労してきたけど、だんだんとワクチンも出てきて光や希望が見えるので、最後のちょっとした辛抱というか…本当にこの病気は非常に面倒くさい病気なんです。SARS(=重症急性呼吸器症候群)という病気がありましたね。病気になると症状が出て、初めて人にうつすと悪人らしい顔をしていると分かる。今回の新型ウイルスは、悪人なのか善人なのか分からない。そういう病気ですよ」

「私どもは感染症対策に長く携わってきていますが、(3密のような)リスクが高いところを中心に防ぐ、避けるということができれば間違いなく(感染者数は)下がります。かなり急速に下がります。ここは我々市民の意識と行動にかかっているんです。そのことは、ぜひお伝えできれば」