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【解説】「政治とカネ」「103万円の壁」争点は? 第二次石破内閣発足、議論本格化

2024年11月12日 19:43
【解説】「政治とカネ」「103万円の壁」争点は? 第二次石破内閣発足、議論本格化

第二次石破内閣発足から一夜明け、「政治とカネ」、そして「103万円の壁」の議論が12日から本格化しています。この2つのテーマのどこに注目していけばいいか、日本テレビ政治部官邸キャップ・平本典昭記者が解説します。

1.政治とカネ…企業・団体献金は?
2.”103万円の壁”…2つのライン

   ◇

鈴江奈々キャスター
「まず1つめ、『政治とカネ』の問題ですが、どこに注目したらいいでしょうか?」

政治部官邸キャップ 平本典昭記者
「『企業・団体献金の廃止がどうなるか』に注目したいと思います。なぜかというと、今、議論となっているテーマで『政策活動費の廃止』『旧文通費の使い道の公開』、これは与野党ともに進める事で一致しているからです。一方、この企業・団体献金をめぐっては、立憲民主党など野党は廃止すべき、対して、自民党は慎重な立場だから注目したいと思います」

鈴江キャスター
「自民党は政策活動費についても当初は廃止に慎重でしたけど、そこは動く形になりそうだと。一方で企業・団体献金については最後まで慎重なのはなぜなんでしょうか?」

平本記者
「理由について、野党側は『企業・団体献金を最も集めているのが自民党なので最後まで抵抗している』とみています。一方、自民党はこう反論しています。石破首相は『企業・団体献金でなく政党助成金への依存度が高まると、政党の国への依存度が高まってしまう。バランスが大事だ』と主張しています。今後、自民党の議論がどうなるかが焦点です」

鈴江キャスター
「政党の国への依存度が高まると何が問題だとしているんでしょうか?」

平本記者
「政党の国への依存度が高まると、政党が国からの影響を受けやすくなるので、これは民主主義の考え方に反するのではないのかというのが、石破首相をはじめ自民党の考え方の1つだと思います」

「12日に政治改革本部が行われましたが、1つ印象的だったのが、出席した1人が『これまでの会議と雰囲気が全然違った』と言っていたことです。実は、自民党派閥のパーティー券収入の不記載問題、いわゆる裏金問題が発覚したのが去年の11月で1年たつんです。現役閣僚の1人も、選挙でも大敗し『先送りし続けてきた問題のけじめをつける、今回ラストチャンスだ』と指摘しています」

鈴江キャスター
「石破首相は年内にも結論を出すと言っています」

鈴江キャスター
「2つ目は『103万円の壁』、この議論はどこに注目したらいいでしょうか?」

平本記者
「これは『2つのライン』をどこで引くかに注目したいと思います。『103万円の壁』を撤廃する事自体はすでに与野党ともに異論はなさそうなので、問題はどこまでまずは引き上げるかです。国民民主党は178万円まであげるべきと言っています。そうではなく、例えば150万円なのか、それ以下なのか。政府与党を取材していると『国民民主の178万円を丸のみすべき』という意見もあります。ほかに『150万円』という意見もあります。『150万円』というのは、他の年収の壁の1つ『配偶者特別控除が満額で受けられるライン』なので、『壁を少しでも減らして制度を簡素にできるのではないか』という意見もあるからなんです」

「一方である財務省幹部は、『物価上昇率に合わせて、あげても10%程度』という指摘をしています。が、多くの議員は『最後は政治決着になるだろう』と指摘しています。自民党内からは、11日に国民民主党の玉木代表に不倫問題が出たので、『これ以上、玉木さんも強気に出られないだろう』という声もあって、与党側と国民民主党との協議でラインがどこになるかがポイントになると思います」

鈴江キャスター
「1つのラインは金額のラインですが、もう1つの『ライン』とは何になるんでしょうか?」

平本記者
「どこまでの人を対象にするか、所得による『ライン』です。『103万円の壁』撤廃は主に大学生などの『働き控え対策』という点が強調されますが、国民民主党の案では、減税対象は所得税を支払う全ての納税者です。減税額は年収ごとに年収1000万円で22万8000円、年収500万円で13万2000円、年収200万円で8万6000円と試算しています。額だけみると高所得者ほど優位という批判も出ています。これは全員が果たして対象なのか、ラインを引く必要があるという声があります」

「複数の政府関係者が『所得制限を設けないと財源が足りなくなる』とか、別の自民党議員も『高所得者より低所得者の手取りが増える設計にしないといけない』と話しています。今のままだと、政府は7兆円から8兆円の財源が必要としていますが、このラインの引き方で財源も決まっていくことになります」

「いずれにしても、私たちの所得に関わる大事な問題ですから、この『ライン』がどこにひかれるか、年内の決着を目指すと言っていますので、注目していきたいと思います」

最終更新日:2024年11月12日 19:43