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「まずい。103万超える」……手取り減で“働き控え” 税金と社会保険料の「4つの壁」どうなる?【#みんなのギモン】

2024年11月9日 14:50
「まずい。103万超える」……手取り減で“働き控え” 税金と社会保険料の「4つの壁」どうなる?【#みんなのギモン】
国民民主党が実現を求めていることで注目度が高まる「103万円の壁」。税金と社会保険料に関する“年収の壁”はこの他にもあります。厚生労働省は「106万円の壁」を撤廃し
て厚生年金の加入を増やすべく議論しています。長年の問題は変わるのでしょうか。
そこで今回の# みんなのギモン では、「“年収の壁”どうなる?」をテーマに、次の2つのポイントを中心に解説します。
●税金の壁 103万円
●社会保険料の壁 106万円・130万円

■玉木代表「何が何でも実現したい」

小野高弘・日本テレビ解説委員
「年収の壁は、年収が一定額を超えると税の負担も増えて手取りが減るラインのことです。今とても関心が高いのは、年末が近づいてきたから、そして今政治が動いているからです」
「『103万円の壁』撤廃を公約にして衆院選を戦って躍進した国民民主党が8日、自民党との政策協議をスタートさせました」
「会談を前に、玉木代表は『期待をしてくれた若い人や現役世代の声に応えるために、選挙で掲げた政策、手取りを増やす経済政策を何が何でも実現していきたい』と話しました」

■国民民主党が要望する政策の中身

小野解説委員
「国民民主党から自民党への要望項目には、103万円の壁を178万円まで引き上げること、学生などが年収103万円を超えても養っている親の税負担が増えないようにすることが含まれています。今の学生などの悩みをすくい上げようとしています」

鈴江奈々アナウンサー
「これは古くて新しい課題で、これまでもずっと指摘されてきましたが、1人1人の1票1票でこうして争点になるんだと実感する機会にもなりました」

■年末を前に…SNSに上がる声

小野解説委員
「だからこそ、皆さん今注目しているんだと思います」
「年末を前に、SNSで『まずい。103万超える。1個バイトやめるしかないか…?』『働きたいけどこれ以上働くと超えちゃう』といった声が上がっています。103万円を超えたくないから働くのを控えようというわけです」
「こうなると、雇用側からは『年末はパートさんたちが休むので現場は火の車』と嘆く声が上がっています。アルバイトの人が来なくなったり、シフトに入らなくなったりすると、働く人が少なくなり、場合によっては店を開けられないこともあります」

鈴江アナウンサー
「ただでさえいろんな業界で人手不足が言われている中で、こういった壁があると現場は本当に困るでしょうね」

■税金と社会保険料の“4つの壁”

小野解説委員
「壁はいろいろあります。103万円(所得税の負担発生)、106万円(51人以上の企業の社会保険料)、130万円(50人以下の企業の社会保険料)、150万円(配偶者特別控除)。103万円と150万円は税金に関する壁、106万円と130万円は年金など社会保険料の壁です」

森圭介アナウンサー
「年収の壁はよく聞きますが、それぞれ厳密に説明できるかというと、難しいですよね」

■大学生の子がアルバイトをする世帯では

小野解説委員
「今政治の力で、どう変えていくのか駆け引きが行われています。103万円の壁について見ていきます。世帯主と配偶者、親と子などいろんなケースがありますが、親と子の場合で考えます」
「子どもは学生でアルバイトをしている。その年収は年間103万円以下の場合は、もともとアルバイトした所得に対する税金はかかりません。これが103万円を超えると、しっかりとした収入があるということで、子どもは自分で所得税を払うことになります」
「さらに親にも関わってきます。子どもが扶養家族ではなくなるため扶養控除が受けられず、親の税負担は増えます。世帯としての年収は減りますよね」
「そのため103万円の壁を超えたくない、アルバイトなど働くのを年末を前にストップする人も多いわけです。雇う側も人手不足で困るなど、いろんな問題が起きてきます」

刈川くるみキャスター
「学生の頃の友達が、年末になるとこの壁にとても悩んでいました。親も雇う側も、どの立場から見てもそれぞれの希望が通りづらい、悪循環になってしまっているのかなと思いますね」

■「103万円」のルール、30年前から

小野解説委員
「この時期になると学生さんからも『壁、壁』という声が聞こえてきます」
「103万円を超えたら税金をかけるルールは、今から約30年前から変わっていません。最低賃金は今、1995年の1.73倍になっています。だったら壁もそれに従って1.73倍にして178万円に引き上げるべきだ、との考え方があります」
「国民民主党の試算では、引き上げた場合に年収200万円の人は8万6000円の減税、年収800万円の人は22万8000円の減税になるといいます。これだけ減税になるということは、政府の税収は減ることにもなります。そこをどうするか、議論しなければいけない点です」

森アナウンサー
「減税された分で消費を喚起して、他のところで(税を)取りましょうというのも分かりますが、額が額ですから、果たしてうまくいくのかをきちんと議論してほしいですね」

小野解説委員
「税金に関わるもう1つの壁が、『150万円の壁』です。配偶者の年収が150万円を超えると、ここから上は配偶者特別控除が段階的に減り始め、世帯主の税負担が増えます」
「103万円の壁を178万円まで引き上げたら、この150万円の壁はどうするのか気になるところです」

■厚生年金への加入で手取りが減る人も

小野解説委員
「次に、税金ではなく年金など社会保険料の壁についてです。一定の年収がある場合、配偶者や親の扶養から外れ、その働く企業の社会保険に加入しなければなりません」
「年収106万円以上働くと、従業員50人を超える企業などの場合、その企業の社会保険に入ります。年収130万円以上働くと、企業の規模に関係なく入ります。保険料を払うことで将来受け取れる年金の額は増えますが、この壁ギリギリの人は手取りが下がります」
「そこで、年収106万円の規定をなくし、週20時間以上働く人は、年収や企業規模に関係なく、その企業の厚生年金に入ることにしたらどうかという案を、厚生労働省が議論しています。厚生年金に加入できる人をさらに増やすためです」
「将来もらえる年金額が増える上、保険料の半分を企業が納めてくれるので、安定につながるとして議論が続いています」

忽滑谷こころアナウンサー
「厚生年金に加入できるのはいいけれど、目先のことを考えると、手取りは減ってしまうという考え方ですよね」

小野解説委員
「厚生年金に加入すると、例えば毎月の給与が9万8000円、年収が約117万円の場合、年間で約10万8000円の年金保険料が給与から差し引かれることになります。そのため保険料を納めることで、手取りが減る人もいます」

鈴江アナウンサー
「物価高で生活が苦しいと感じている方が多いと思うので、昔から変わらない制度を変えることで改善できるのであれば、積極的に議論してもらいたいですね」

小野解説委員
「長年問題であり続けた年収の壁の問題。今この機会にどう変えていくことができるのか、注目です」

(2024年11月8日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)

【みんなのギモン】
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最終更新日:2024年11月9日 14:50