“103万円の壁”税制見直しへ…働く側・雇う側、どう変化? 頭悩ませる“130万円の壁”も
税制改正へ向け、いわゆる“年収の壁”の政策協議がスタートしました。制度が見直されると生活が大きく変わることになるパートやアルバイトの人たち、そして給料を支払う会社側はこの動きをどう受け止めているのでしょうか?
ぐっと冷え込み年末の気配が近づくころ、働く人に立ちはだかる“大きな問題”。
アルバイト 三本さん
「シフト考えないといけなくなっちゃって、103万円を超えちゃうので、なるべく(シフトを)減らすようにしています」
いわゆる“年収の壁”。レストランでアルバイトする専門学生は「103万円の壁」に直面しています。
アルバイト 三本さん
「扶養を超えないように、親の税金が増えちゃうから」
「103万円の壁」とは「税金の壁」。超えてしまうと所得税が発生。学生の場合、親の扶養を受けられなくなり、親の税負担も上がってしまいます。
“壁”に直面している三本さん。多い時は週4日ペースで働いていましたが、今月はシフトにほぼ入れないということです。
アルバイト 三本さん
「来月はお給料ないのでもうちょい働きたかった。やっぱり103万円だと少ないなって思う。もうちょっと上限を増やしてもらえるとうれしい」
一方、雇う側にとっても年末は壁を見据えた“働き控え”が問題になっています。
すかいらーくグループでは“年収の壁”を学ぶ勉強会の他、バイト1人1人の給与をデータ化することで壁を超えずにぎりぎりまで働けるシフト管理を進めているということです。
働き手も雇い手も悩ましい「103万円の壁」。今この壁を変えようとする動きがあります。
国民民主党 玉木代表
「若い人や現役世代の声に応えるために選挙で掲げた政策。この手取りを増やす経済政策を何が何でも実現していきたいと考えています」
衆院選で“103万円の壁”の見直しなどを公約に掲げ、議席を4倍に伸ばした国民民主党。(選挙前7議席→選挙後28議席)
8日、自民党と政調会長同士が会談し、政策協議をスタートさせました。国民民主党は自民党に対し、「103万円の壁」を178万円まで引き上げることや、学生などの年収が壁を超えても養っている親の税負担が増えないようにすることなどを要望。
自民党も“103万円の壁”の見直し自体は受け入れる方向で、11日に石破首相と玉木代表が会談するなど今後、具体的な引き上げ幅や制度設計について協議していく考えです。
街の人は…
大学3年生 配達のアルバイト
「僕的にはうれしい、稼げる幅が広がる。103万円って聞いた時は大きい金額だと思ったけど、年末(シフトを)半分くらいにしないと超えちゃいます」
専門学生(20代)
「時給が上がったが故に働く時間が短くなるのが現状。限度が上がるならアルバイト入れやすい」
専門学生 飲食業でアルバイト(20代)
「気持ちに余裕が出るのが一番うれしい」
しかし、仮に「103万円の壁」がなくなってもその奥には“別の壁”が。それは税金ではなく、「社会保険料の壁」。従業員が51人以上の企業では「106万円の壁」を超えると保険料を払う義務が発生。さらに「年収130万円」を超えるとだれでも保険料払うことになるのです。
専門家に話を聞くと…。
ファイナンシャルプランナー 塚越菜々子さん
「主婦の方で一番気にしているのは“130万円の壁”。(社会保険料を)払うことになってしまうので、手取りが大きく減ってしまう」
保険料を払うことで将来、受け取れる年金額は増えるものの、壁ぎりぎりの人は手取りが下がってしまい働くことをためらうケースもあるといいます。
ファイナンシャルプランナー 塚越菜々子さん
「制度がこうだからこれくらいしか働いちゃだめとしていくとゆがんでしまう。自分主体で考えていくことが大事。就業調整について議論が進むといいですね」
働きたい人が阻まれない仕組みが必要だということです。