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N党・立花氏、千葉県知事選の演説を兵庫で…問題は? 「当選は目的でない」主張の多くは“斎藤知事”関係【#みんなのギモン】

2025年3月7日 9:45
N党・立花氏、千葉県知事選の演説を兵庫で…問題は? 「当選は目的でない」主張の多くは“斎藤知事”関係【#みんなのギモン】
現職に新人3人が挑む構図となっている、16日投開票の千葉県知事選挙。「当選は目的ではない」と明言するNHK党の立花党首が兵庫県内で演説するという、異例の選挙活動が展開されています。法的な問題はないのか、立花氏の狙いは何なのかを考えます。

そこで今回の#みんなのギモンでは、「千葉の選挙 なぜ兵庫で?」をテーマに解説します。

■熊谷さん「安定的な生活を支える」

田頭祥・日本テレビ社会部デスク
「千葉県のトップを決める知事選挙は3月16日が投票日ですが、異例の選挙戦が展開されています。現職と新人の合わせて4人が立候補しています」

「届け出順に、現職の熊谷俊人さん(47)、フリージャーナリストの小倉正行さん(72)、政治団体『つばさの党』代表の黒川敦彦さん(46)、政治団体『NHKから国民を守る党』党首の立花孝志さん(57)です」

「熊谷さんは6日、千葉・船橋駅前で『インフラの老朽化問題に対し、人もそしてお金もしっかり整えて、県民の皆さんの安定的な生活をこれからも支えていきたいと思います』と演説しました。自民・公明・立憲・維新・国民のそれぞれ県組織が支持しています」

■小倉さん「水道料金の値上げは中止」

田頭デスク
「小倉さんは共産党から推薦を受け、現職に挑みます。2月27日、千葉駅前で『皆さんが節約しているのは、生活が苦しいから節約しているんじゃないですか。私が知事になれば水道料金の値上げは中止し、水道事業の健全化・長期安定化を図ります』と訴えました」

■黒川さん「既存の政治勢力に反旗」

田頭デスク
「政党からの支持を受けるこの2人に対して、既成政党を批判するスタンスなのが、黒川さんと立花さんです」

「黒川さんは2月27日、船橋駅前で『既存の政治勢力に反旗を翻しているものです。既存の政治勢力には投票しないでください』と声を上げました」

■兵庫県内で演説を続ける立花さん

田頭デスク
「立花さんは、演説の第一声は千葉県内で行いましたが、その後は兵庫県内で演説を続けています」

「3月1日、兵庫・神戸市の三宮で『千葉県の選挙を兵庫県の神戸でやっているのに、たくさんの人が来てくれているのは意味があるんですよ。別に千葉の選挙を兵庫県でやってもいいし、兵庫県にも千葉県民がいる可能性は十分あるんですよ』と語りました」

■千葉県政への評価が大きな判断基準

鈴江奈々アナウンサー
「『千葉県民もいる可能性がある』とおっしゃっていましたが、だったら千葉で千葉県民に訴えたらいいのになと、素朴に思ってしまうんですが…」

田頭デスク
「再選を目指す現職の熊谷さんに新人たちが挑む選挙ですから、今の千葉県政への評価が有権者の大きな判断基準になると思います。一方で、立花さんは今回『当選は目的ではない』とはっきりと言い切っています」

桐谷美玲キャスター
「私は千葉出身で実家も千葉にあるのでとても気になるんですが、立花さんの『当選は目的ではない』というのは、どういうことなんですか?」

■主張の多くは…兵庫県知事に関わる話

田頭デスク
「立花さんは『当選を目的とはしない』という一方で、その主張の大きな部分を占めているのが、兵庫県の斎藤元彦知事に関わる話です」

「去年11月に行われた兵庫県知事選の最中に、当時日本維新の会の兵庫県議が、非公開の音声データを立花さんに提供したことが大きな問題になりました。立花さんは『この兵庫県議に自身の党から今年夏の参院選に出馬してもらいたい』と有権者に訴えているんです」

森圭介アナウンサー
「立花さんが訴えたいことは理解できましたが、それは千葉県民には何も関係ないということですよね?」

■ポスターに関する公選法の規定は?

田頭デスク
「立花さんといえば、去年の東京都知事選でもNHK党から大量の候補者を出馬させ、掲示板に選挙とは無関係のポスターを載せ、『掲示板ジャック』とも言われました」

「ポスター問題に関し、公職選挙法では他の候補者の応援(=選挙運動)を行うこと、ウソやデマの内容(=虚偽事項)を記載することは明確に禁止されています。ただこれ以外にポスターの内容を制限する規定はなかったため、今国会で法改正の動きが進んでいます」

「ポスターには候補者の名前を記載しなければならない、他人や他の政党などの名誉を傷つけることなどを禁止する、営利目的で商品の広告や宣伝をするといった場合には、100万円以下の罰金を科すという改正案が衆議院を通過しています」

鈴江アナウンサー
「これまでの選挙のポスターで想定されなかったことが起きて法改正に動いているということですが、この法改正は千葉県知事選には適用されないですもんね」

■兵庫県知事選で“2馬力選挙”

田頭デスク
「去年11月にあった兵庫県の斎藤知事の出直し選挙で立花さんは自身も出馬しましたが、斎藤知事を応援する選挙戦を行い、“2馬力選挙”という呼び名も生まれました。2馬力選挙について、選挙制度に詳しい早稲田大学・政治経済学術院の日野愛郎教授に聞きました」

「これまでもポスターの掲示では他の候補者を応援することが禁止されてきたことを応用して考えれば、『他の候補者を応援してはいけない』というのは選挙活動全般にも言えて、問題であると言えると思う、と日野教授は話しています」

■選挙区外での選挙運動…4人の考えは

忽滑谷こころアナウンサー
「そもそも県外で演説するということが頭になかったんですが、選挙区外での演説というのは問題ではないんですか?」

田頭デスク
「選挙を統括する総務省に、選挙区外での選挙活動について聞きました。『公職選挙法で認められる範囲内ならば、選挙区外の選挙活動を禁止する規定はない』という見解を示しています。立花さん自身も『法的に禁止されていない』と主張しています」

「では、こういう選挙戦をどう考えるのか、各候補に聞きました」

「熊谷さんは『公費が使われる選挙。県民が納得できない部分もあるのでは』、小倉さんは『千葉県で立候補したわけだから、県内で活動するのが当然』、黒川さんは『政治的テーマを可視化する意味では、たまにはあってもいい』と話していました」

「法律で禁止されていない以上、結局は有権者が候補者の資質を見極めるしかないということです。公職選挙法のあり方も時代にそぐわない部分が多くなっているので、選挙の自由という観点を踏まえた上で、見直しを進めてほしいと思います」

鈴江アナウンサー
「これまでになかった選挙の動きが出てきていますけれども、SNSを含めて私たちのコミュニケーションや情報の取り方も変わってきています。そういう中で、選挙のあり方を一人ひとりが考える時かもしれませんね」

(2025年3月6日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)

【みんなのギモン】

身の回りの「怒り」や「ギモン」「不正」や「不祥事」。寄せられた情報などをもとに、日本テレビ報道局が「みんなのギモン」に応えるべく調査・取材してお伝えします。(日テレ調査報道プロジェクト

最終更新日:2025年3月7日 9:45