ハンセン病の病原体「らい菌」発見から150年 ノルウェーで式典

ことしの2月28日は、ハンセン病の病原体である「らい菌」をノルウェーの医師が発見してから150年になります。これを記念し、ノルウェーで式典が行われました。
厚労省などによりますと、「ハンセン病」は「らい菌」が主に手足などの末しょう神経や皮膚などを侵す慢性の感染症です。
今から150年前の1873年2月28日、ノルウェーの医師、ハンセン氏により、原因菌の「らい菌」が発見されました。
慢性疾患の原因として、病原体が初めて特定され、世界の保健衛生に大きな影響を与えたとされています。
これを記念し、ノルウェー・ベンゲン市では「笹川保健財団」などが主催し、記念式典が行われました。
式典には、ハンセン氏のひ孫、アビ・パトリックスさんも出席し、「私も69歳になったが、記憶力にも体力にも自信がある。このような状態でいられるのは、医学の飛躍的な進歩があったおかげで、そのパイオニアが曽祖父であったことを誇りに思う」と語りました。
このハンセン病は、薬を服用することで治る病気となりましたが、治療法がなかった時代は体の一部が変形するなどの後遺症が出ることがあり、外観の特徴などから“業病”や“呪い”などといった差別や偏見の対象にされてきた歴史があります。
国は1996年に「らい予防法」が廃止されるまで、患者を強制的に療養所に収容する隔離する政策を行ってきました。これにより、差別や偏見が助長されたといわれていて、患者だけではなく、その家族も結婚や就職が困難になるなどの状況が続いたということです。
「らい菌」は感染力が弱く、うつりにくい病気で、現代の日本の衛生状態では、ハンセン病を発症することはまれで、国立感染症研究所によりますと、近年の新規患者数は数人にとどまっています。
国は、患者・元患者らに謝罪して、名誉回復や社会復帰支援策が行われていますが、全国にある療養所には現在も高齢となった元患者らが生活しています。
これは、いまだに続く差別や偏見のため、療養所の外で暮らすことに不安があり、安心して退所できないという理由の人もいるためです。
写真:笹川保健財団提供