直径4.75メートル“巨大”下水道管の腐食が原因か 道路陥没
発生から約56時間が経過した道路の陥没事故。その原因とみられているのが、巨大な下水道管の腐食です。一体どういったものなのか。ほぼ同じ大きさの下水道管を取材しました。
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発生から約56時間。穴は拡大を続け、規制エリアも広がっています。
記者
「度重なる陥没により、巨大な穴になってしまいました。道路や電柱がのみ込まれています」
埼玉県八潮市の交差点が陥没し、トラック1台が転落した事故。運転手は、まだ中に取り残されたままです。
記者
「泥をかぶって、どれが運転台なのか分からない状況です」
複数の通りが交わる場所に発生した1つの穴。29日の時点で穴は2つに増え、さらに30日午前2時半すぎ、隊員らが協議していたその時、道路がさらに崩れました。
記者
「3日間、上空から取材を行っているのですが、当初、道の真ん中にあいた陥没が2つとなり、さらにけさ、その2つがつながってしまっている状況です」
県によると、穴は直径20メートル以上の大きさに広がっているといいます。
記者
「崩れたところから大量の水が流れ込んでいます」
救助活動も、危険と隣り合わせです。
記者
「救急隊員たちが電柱の根元に命綱をくくりつけ、穴の中をのぞき込んでいます」
八潮消防署 佐藤徹司署長
「極めて危険性の高い状態。今後の活動は安全な場所から重機を使用してスロープを作り、完成後に重機を投入する方針で進めていくことになりました」
段階を踏んで、救出を試みます。
まずは、スロープを作る重機の搬入です。電線を切り、動線を確保します。
次に、スロープを陥没までつなげます。このスロープができるまでには2~3日かかる見通しだということですが、状況次第では、スロープが完成する前に救助に入る可能性もあるということです。
なぜここまで被害が拡大してしまうのか? 2つ目の穴ができたことについて、地盤の構造に詳しい専門家は…
日本大学理工学部 鎌尾彰司准教授
「1つ目の穴のほうに土砂が崩れていった可能性が大きいかと思います。土が流れ込んでしまって、2つ目の空洞になってしまう。水が流れているところも土を削り取って、空洞を助長することになりかねない」
救出活動に伴う振動なども、陥没が拡大したことの要因と考えられるといいます。
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そもそも、今回の陥没が発生した原因とみられているのは、現場の地下を通る下水道管の腐食です。各自治体から流れる下水が集約される場所が現場で、下水道の使用を控える呼びかけは12の市と町まで広がっています。
埼玉県中川下水道事務所によると、地下10.6メートルほどを通る下水道管は、直径4.75メートル。どれほどの大きさなのか。東京・小平市ふれあい下水道館を訪ねました。
東京・小平市下水道課 山田陽至さん
「小平市で実際に使われている下水道管になります」
記者
「大きいですね」
東京・小平市の下水道管は直径4.5メートルで、八潮市の陥没現場を通るもの(直径4.75メートル)と同じぐらいの大きさになります。
東京・小平市下水道課 山田陽至さん
「下流になるにつれて(管が)大きくなっていきます」
──点検の際はどういうところを見て点検するのですか?
東京・小平市下水道課 山田陽至さん
「これくらいの大きな管だと、実際に人が入って歩いて目視で表面の異常か所などを点検。亀裂や破損、腐食があるかどうかをチェック」
下水道管は、なぜ腐食してしまうのか。
下水道を流れる下水には、生ゴミなどの有機物が含まれています。そこから、硫化水素が発生。空気に触れることで硫酸になり、下水道管を溶かしてしまうのです。
そうして生じた腐食部分から下水道管に大量の土砂が流れ込み、地上に大きな穴が開いてしまったのでしょうか。
埼玉県は2021年度の検査では劣化はみられるが、補修などが必要な状態ではなかったとしています。