黒田清子さんらの調査で初確認!皇居と赤坂御用地でオオタカとフクロウが同時期に繁殖~都心で鳥類の多様化進む
上皇ご夫妻の長女・黒田清子さんが研究者として参加した国立科学博物館の調査の結果、この春、皇居と赤坂御用地で大型の鳥類であるオオタカとフクロウが同時期に繁殖したことが初めて確認されました。これにより都心部の緑地で鳥類の多様化が進んでいることが明らかになったということです。
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国立科学博物館は1996年から3期にわたって皇居での動植物に関する学術調査を行っていて、山階鳥類研究所も皇居と赤坂御用地で長年、鳥類の生態の調査を行ってきました。
上皇ご夫妻の長女で山階鳥類研究所フェローの黒田清子さんは、今回、国立科学博物館の鳥類調査班のメンバーとして調査に加わり、皇居と赤坂御用地でこの春、繁殖した鳥類について調査したということです。
国立科学博物館によりますと、鳥類調査班が5月から6月に行った日中の調査で皇居と赤坂御用地でオオタカの巣とヒナが確認され、さらにヒナが巣立ったことも確認されたということです。
また6月から7月に行った夜間を含む調査で、皇居と赤坂御用地でフクロウの巣立ったヒナも確認されました。
皇居と赤坂御用地では近年、猛禽類と呼ばれるこれら2種類の大型の鳥類の、繁殖や巣立ったヒナが徐々に確認されていましたが、両方の場所で、同じ年にオオタカとフクロウの繁殖が確認されたのは初めてで、都心部の緑地で数十年にわたって鳥類の多様化が進んでいることの表れだと考えられるということです。
また猛禽類が都市で生息するにあたっては、ハシブトガラスという一般的に都市で見られるカラスと競合関係にあるとされ、近年、ゴミの夜間回収やカラスよけネットの徹底、行政機関による駆除などによってハシブトガラスが減少してきたことが、こうした大型猛禽類の増加につながっていると考えられるということです。
今後、大型猛禽類が都市部の緑地に長期的に定着できるかどうかについては、ハシブトガラスの個体数の今後の動向とともに猛禽類の行動範囲やエサについてのさらなる調査が必要だということです。