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居座る強烈寒波が3連休直撃 大雪で潜むキケン…気温差で「もろい層」雪崩を誘発【バンキシャ!】

2025年2月24日 23:11
居座る強烈寒波が3連休直撃 大雪で潜むキケン…気温差で「もろい層」雪崩を誘発【バンキシャ!】
日本列島に居座る強烈な寒波。各地で記録的な大雪となっていて、3連休中の観光地にも影響が出ています。雪はこのあと、再び強まる恐れもあり警戒が高まっています。

   ◇

22日、神奈川・横浜市では一時、視界がかすむほどの雪が降った。関東の平野部でも“にわか雪”となるなど、あいにくの天気でスタートした3連休。

日本列島に居座り続けている強烈寒波。特に注意が必要なのが、日本海側だ。24日にかけても、雪が降り続ける見込みとなっている。(23日:石川・金沢市)

――雪の3連休となりましたが?

群馬からの観光客
「1か月ぐらい前から予定していて、こんなに雪が降ると思ってなかった」

新潟県魚沼市守門では23日、383センチの積雪を観測。災害が発生する可能性がある状況だ。雪かきをしていた住民に被害の心配を聞いてみると─

地元住民
「年寄りが一人暮らしで入院したりしちゃうと、空き家みたいになる。(雪が)降ったからと言って誰も下ろしてくれないので山みたいになる」

「ここも取り壊そうかという話で、雪庇(せっぴ)がすごい」

「雪庇」とは、屋根からせり出した雪のことだ。

――建物の一部が壊れていますね

近隣住民
「去年までは壊れていなかった」

――雪の重みで?

近隣住民
「そうですね。連続で降られちゃうと屋根が壊れたり、もしその下で子どもやお年寄りが歩いていたら、落ちてくる危険がある」

   ◇

週末からのこの3連休、記録的な大雪で行楽地に向かう人にも影響が見られた。18日には、雪崩によるとみられる死者も…。

バンキシャは雪崩が発生した現場へ向かった。専門家と検証すると、雪の中である現象が起きていた。

22日、大雪注意報の出ていた山形県西川町へ。一面、雪で覆われた町。旅館を経営している今野信秋さんを訪ねた。旅館業務の傍ら除雪作業に追われていた。実は今野さん、県からあることを任されている。

――はしごがありますが、何をやられてるんですか?

今野さん
「ここの積雪計をみるため」

この地区には気象庁の観測地点がないため、県から積雪の観測を依頼されおよそ50年続けているという。

――何センチぐらいですか?

今野さん
「5メートル25(センチ)」

気象庁のデータでは、今シーズン最も雪が積もったのは青森・酸ヶ湯の5メートル9センチ。それを超える積雪量だ。

今野さん
「みんなびっくりしてますよこんな雪見たことないって」

   ◇

大雪警報が発表された新潟・長岡市では、毎年行われる冬の祭りにも影響が。

アナウンス
「雪上花火、打ち上げ変更となりまして、夕方6時からを予定しています」

降り続ける雪で、観客が帰れなくなる事態を避けようと開始時間の前倒しを決めた。フィナーレの打ち上げ花火は1時間半前倒しで行われ、雪景色の中、花火が夜空を彩った。

新潟市から
「雪と花火はいま初めてだから、すごい楽しいです」

   ◇

22日、群馬・みなかみ町を取材中、バンキシャが目撃したのは、雪の壁に突っ込んだ車だ。

――大丈夫ですか?

運転手
「ちょっと出られなくなった」

東京から来たという4人家族。スタッドレスタイヤをはき、スキー場へ向かっていたという。

運転手
「チェーンを持っていない。そこが急にカーブしてて、滑っちゃったんです」

スタッフが手伝うも、タイヤが空回りしてしまう。その後、なんとか脱出することができた。

さらに山道を走ること15分。

――はまってるんですかね?

タクシー運転手
「スタックしてますね」

温泉に行こうと、東京からきた2人が坂道を上れず、立ち往生していた。

タクシー運転手
「チェーン持ってるんですか?」

女性
「チェーン持ってないです。」

タクシー運転手
「ノーマルタイヤだよ全然無理。上れない」

地元のタクシー運転手も手伝うが…温泉を諦め、チェーンを買いに行くという。

   ◇

大雪を降らせる強烈寒波。各地で雪崩が発生し、人が巻き込まれる事故も――。22日、岩手・北上市へ向かった。

ここでは18日、スキー場の滑走禁止エリアに入ったアメリカ人1人が雪崩に巻き込まれ死亡した。当時、救助活動にあたったスキー場の代表に現場まで案内してもらう。

北日本リゾート・菅原三多英社長
「(現場は)このゴンドラの右手の谷の中になります」

――ちょうど今見えない場所ですか?

北日本リゾート・菅原社長
「見えない場所ですね」

現場に向かうのは特別な訓練を積んだ山岳取材班。雪崩に詳しい山岳ガイドにも同行してもらった。

雪崩が起きたのは、コースからおよそ300メートル離れた滑走禁止エリア。雪深い斜面を進むこと1時間。

雪崩が起きた現場。雪の中で何が起きていたのか。この時期に、雪の中にある特徴があらわれるという。雪崩が起きた場所の近くで掘ってみると…

国立登山研修所講師 山岳ガイド・山本篤さん
「はっきりと上から70~80センチのところに顕著な層が見受けられます」

雪の断面をみると線が入り、層になっていることがわかる。線の上の層を触ってみるとサラサラとしていた一方で、線の部分はシャーベットのような雪質だった。

雪が降った後、晴れて気温が高い日が続くと、表面がシャーベット状にとけだす。さらに、その上に新しく雪が降り積もると、その間に「弱層」と呼ばれるもろく崩れやすい層ができる。

山岳ガイド・山本さん
「この層は17日くらいまで天気がよくて気温が高い日が続いたと聞いていますので、その時にできた層です」

「その上に18日以降、積もった雪がこの70~80センチの幅でいま堆積しています」

新たに降り積もった雪の量が多いと、弱層にかかる負荷がより大きくなり、雪崩が起きやすくなる。今年は各地で平年より積雪が多く、注意が必要だという。

雪崩のメカニズムに詳しい北海道教育大学・尾関俊浩教授
「気温が上がるとか、晴天が続くと、積雪の表面あたりにまた新たな弱層ができます。さらに、またその上に雪が降って乗ると、まだまだこの時期、山の中では雪崩の注意が必要」

(2月23日放送『真相報道バンキシャ!』より)
最終更新日:2025年2月24日 23:11