アリ?ナシ?校舎の中に防犯カメラ 熊本市が政令市初の導入か?審議会が「検討必要」と答申
ニュースのそもそもをひも解く「県民のギモン」。リポーターは中村絵奈さんです。
(中村絵奈リポーター)
今回のテーマは「校舎内に防犯カメラは必要?」です。学校でのトラブルを防ぎ、いざという時の証拠になるという目的なんですよね?
(緒方太郎キャスター)
今、全国に先駆けて、熊本市で本格的な議論が始まろうとしています。きっかけは、1月に開かれた熊本市の教育行政について話し合う熊本市教育行政審議会でした。
■日本大学文理学部教授 末冨芳委員
「防犯カメラの設置については必要という立場に立ちながら、ただちに導入しますという考え方ではなくて、設置場所や時期についてさらに検討した方がいいけれども原則として必要だよという書き方をしている」
校舎内への防犯カメラの設置。文部科学省によりますと、全国の政令指定都市で導入しているケースは聞いたことがないといいます。
背景にあるのは、熊本で相次ぐ学校でのトラブルです。子ども同士のいじめだけでなく、3月には小学校の女性用トイレに小型カメラを仕かけて盗撮しようとしたとして、玉名町小学校の教諭の男が逮捕・起訴されました。
(中村絵奈リポーター)
「校舎内への防犯カメラ」はアリ?ナシ?学校現場の主役、子どもたちに聞いてみると。
■小学生
「いじめとか無くせるなら、あったらうれしいなと思いますね」
■小学生
「もしあったら不思議でもあるし、怖い気持ちもある」
■中学生
「物を盗む人がいるので、その時に話し合いになっても防犯カメラがあったらわかりやすいんじゃないか。(いじめの)抑止力にはなりそうな気がします」
一方、保護者の受け止めは。
■保護者
「ちょっとどうかな…というのは思っちゃいますけどね。誰が見て、撮った画像をどう使っているのかというのを透明化していただかないと不安がありますよね」
賛成と不安の声が入り混じる「校舎内への防犯カメラ」。全国的にも先進的な議論ですが、皆さんはどう思いますか?
【スタジオ】
(中村絵奈リポーター)
熊本市ではどんな動きが出ているのですか?
(緒方太郎キャスター)
熊本市の教育行政について話し合ってきた有識者による審議会が先週、熊本市の教育長に最終答申を手渡しました。さまざまな提言の中の一つに「防犯カメラ」についての内容も盛り込まれました。
その内容をまとめました。まずは、期待できることです。
▽カメラが教室内でのいじめや暴力行為の抑止力となる。
▽体罰やいじめが起きた場合、当事者の証言だけでなく、裏付ける客観的な証拠を確保。
実際にいじめを受けた子からも、カメラで記録を残してほしいという意見もあったそうです。
(中村絵奈リポーター)
一方で、子どもや保護者からは「怖い」とか「どう使われるか不安」という声もありましたよね?
(緒方太郎キャスター)
最終答申をまとめた審議会の委員長も、防犯カメラの意義は認めつつ、「実際に使うかどうかは別の問題」と話しています。
■熊本市教育行政審議会 藤田豊委員長(熊本大学教育学部長)
「実際には必要な情報としてあるけれども、学校現場で本当にそれをしていいんだろうか?と、かなり慎重な意見が出てきました。いじめに遭って苦しんでいる子どもがビデオでもちゃんと撮っておいてほしいという意見が出ているので、子どもたちが本当に何を求めているか、もっと踏み込んだ議論をする必要があると思います」
(中村絵奈リポーター)
大人の考えだけで防犯カメラ設置に踏み込んでいいものか。答えが難しい課題だというのが伝わってきました。
(緒方太郎キャスター)
実際に審議会としても、子どもたちのプライバシーをどう守るか、想定外の映像の流失といった懸念も指摘しています。そのため、最終答申では、防犯カメラの設置を「検討することが必要」との表現にとどまっています。
(永島由菜キャスター)
熊本市教育委員会はどう受け止めているんでしょうか?
(緒方太郎キャスター)
まずは必要かどうかを教職員、子ども、保護者に調査したいとしています。