93歳女性が死亡 イタイイタイ病 生存する患者ゼロに
イタイイタイ病の患者でただひとり生存していた富山市の93歳の女性が8月、亡くなったことがわかりました。1967年に県が認定を始めてから生存する患者がゼロになるのは初めてです。
イタイイタイ病は、神通川流域で起きた四大公害病のひとつです。川の上流の神岡鉱山から垂れ流されたカドミウムを飲み水や農作物から摂取することで引き起こされます。わずかな衝撃で骨が折れたり激痛が走る病気で、県は1967年以降、201人を患者として認定してきました。
患者団体のイタイイタイ病対策協議会によりますと、2022年に患者認定を受け、県内で唯一の生存患者となっていた富山市の93歳の女性が8月11日に亡くなったということです。
この女性は幼い頃から農業に従事し、40歳を過ぎたころに足が痛む症状が出始めました。女性は2022年、こう話していました。
女性
「痛くて痛くてしょうがない」
県によると、患者の認定制度を始めてから生存する患者がゼロになるのは初めてです。しかしイタイイタイ病対策協議会の江添良作会長は、腎臓障害を抱える人は多く、今後も患者が出る可能性があると話します。
イ対協 江添良作会長
「これでイタイイタイ病患者は、富山県から、神通川流域からいなくなったという風に考えるのは、やはり早計ではないかと思っています。イタイイタイ病患者は、まだまだ潜在的におられると私は考えております」
県によりますと、県内では「患者」ではないものの「要観察者」の生存者が一人います。
江添会長は患者がいなくなってもイタイイタイ病を風化させないよう、語り継いでいきたいと話します。
イ対協 江添良作会長
「この患者さんの死を語り継いで、何を後世に残していけるのか、自分にも問いかけながら今後の風化防止に努力していきたい」