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「再興して人生を終えたい」伝統の塩づくり再開への思い 震災被害の”揚げ浜式製塩” 

2024年3月26日 19:12
「再興して人生を終えたい」伝統の塩づくり再開への思い 震災被害の”揚げ浜式製塩” 
能登半島地震で被害を受けた珠洲市の製塩所が先月(2月)から塩作りを再開しています。400年に渡り受け継がれてきた伝統を継承するため、苦難の中、再開を決めた男性の思いに迫りました。珠洲市長橋町の海岸沿いにある製塩所「珠洲製塩」。

作業を見守るのは、山岸順一社長です。

珠洲製塩・山岸 順一 社長:
「上等、上等。いい塩ができています」

珠洲製塩は、海水を砂浜の塩田にまき天日干しにする、珠洲で400年以上続く伝統製法「揚げ浜式」で塩を作っています。しかし、元日の地震で笹波町にある製塩所の建物が崩れ、釜も壊れました。長橋町の製塩所の釜は無事でしたが、地震により海底が隆起…。海岸線がおよそ100メートル沖合に離れたため、海水を引くためのポンプやホースの買い替えが必要となりました。

珠洲製塩・山岸 順一 社長:
「津波が来ないかなと心配していた。だけど隆起は予想していなかった。(買い替えに)安くて50万円、高くて500万円くらいするかな」

釜の修繕なども含めると数千万円かかるといいます。それでも、珠洲の伝統をつないでいかなくてはならない…。従業員9人全員が避難生活を送る中、山岸社長は先月(2月)8日から1人で塩の製造を再開しました。

珠洲製塩・山岸 順一 社長:
「意地だよね。今までやってきたことを大地震でやめたというのも引き際かもしれないが、でも珠洲製塩の山岸は頑張って再興したよとしてわずかな短いと思われる人生を終えたい」

再開を知った従業員が先月(2月)中旬から徐々に職場に戻ってきました。現在は従業員4人が作業に当たっています。

従業員・真酒谷 淳志 さん:「3月ごろにこっちの方に戻ってきて働き始めた。それでまではずっと輪島の避難所で避難生活をしていた。仕事をしていつも通りの生活ができるのがありがたい」

塩作りの作業は力仕事が大半であるため、高齢の山岸社長も助かっているといいます。

珠洲製塩・山岸 順一 社長:「ホッとした。喜んでいる」

一方、地震の後、全国各地からネットでの注文が殺到しています。発生からおよそ2カ月半で、例年の2年半分を上回る注文を記録…。注文した人から応援メッセージも多数届き、苦難の中、営業を再開した山岸社長の活力となっています。

珠洲製塩・山岸 順一 社長:
「お客さんはやっぱり心配してくれていたんだな、私の塩を注目してくれていたんだなと思って喜んでいる。温かい気持ちが伝わってくる」

山岸社長は、3年かけて地震前の状態まで復旧させるといいます。珠洲の塩作りは、地震の被害に屈することなくこれからの時代へ受け継がれていきます。

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