国賠訴訟を例に本部長指揮とせず 参考人招致で前首席監察官「慎重強く感じた」枕崎署元署員の盗撮事件
県警の一連の不祥事の一つ、枕崎署の元警察官による盗撮事件についてです。当初から関与が疑われていた元警察官への捜査について当時の野川本部長が「直接証拠が乏しい。国家賠償請求訴訟の懸念がある」との認識を示し、本部長指揮の事件としなかったことが明らかになりました。
2023年12月に発生した枕崎署の元警察官による盗撮事件では、当初から元警察官の関与が疑われていたものの、本部長指揮にならなかったり、指示が間違った認識で伝わり、2日間、捜査が中止されました。
16日に行われた県議会の総務警察委員会で参考人として招致された上別府高宏前首席監察官は事件が発生した時、前の枕崎署長から「枕崎署員が犯人の可能性があるが裏付ける直接的な証拠はない」と一報を受けたと述べました。上別府前首席監察官はその後当時の野川本部長に説明。野川前本部長は「証拠が乏しいため署で捜査を尽くすとともに教養を行うように」と指示をしたということです。
その際、野川前本部長は2022年に、奈良県警の署員が拳銃の実弾を盗んだと疑われ、違法な取り調べを受けたとして国家賠償を求める裁判を起こした例を引き合いに、慎重に捜査を行うよう強調し、本部長指揮としなかったということです。
(前首席監察官・上別府高宏現鹿児島中央署長)
「証拠が十分ではない状況で職員を被疑者として扱うことは適切ではなく慎重であるべきとの考えであると強く感じた。引き続き枕崎署において必要な捜査を続けたうえで職員による犯行を裏付ける直接的な証拠が出てきた時点で本部長指揮事件とするべきであるのにと指示を受けた」
上別府前首席監察官はこの内容を当時の枕崎署長に連絡しましたが、「客観的証拠がないから捜査は中止するように」と間違った認識で伝わり、2日間捜査が中止されました。
この事件をめぐっては警察の内部情報を漏らしたとして逮捕・起訴された前の生活安全部長の本田尚志被告が「当時の野川本部長が隠ぺいしようとした」と主張しています。