「核抑止に大きな疑義を呈する好機」核兵器禁止条約締約国会議の意義は専門家に聞く《長崎》
核兵器が使われるリスクが高まる中での締約国会議開催について、長崎大学核兵器廃絶研究センターの中村 桂子准教授に意義などを聞きました。
長崎大学核兵器廃絶研究センターの中村 桂子准教授
「先の見えないウクライナの戦争もそうだし、パレスチナの状況もある。北朝鮮も含めて、核軍縮に対する逆風が吹き荒れる現状。だからこそ、核抑止や軍事力依存の安全保障の考え方そのものいついて大きな疑義を呈する好機。締約国が集まって、私たちが今立ち止まって考えるべきことなんだとはっきりと世界に示すことに大きな意味がある」
一方で、その会議に日本政府がオブザーバー参加を見送ったことを「誤った政策だ」と批判します。
中村 桂子准教授
「危機感を共有している世界の国の一つとして、立場は違えど自分たちの国の姿勢を述べ、また相手の話も聞く。これがまさに本来日本が言っている橋渡しの努力だと思う。本当に全人類的な共通課題として今まさに取り組むべきもの。そこに日本があたかも自分たちが当事者ではないかのように背を向けてしまっているのがもったいない」
会議を機に、政府の代表に加え、被爆者や若者、専門家など幅広い人たちが参加し、核廃絶に向けた機運が醸成されることに期待を見せました。
中村 桂子准教授
「核の非人道性の話、被害者援助の話もそうだし、核軍縮検証やジェンダーの話や条約の普遍化の話と言った主要なテーマに関して、それぞれ前進があると思う。前向きな機運を作っていって、さらに締約国だけではない、オブザーバー参加の国、まだ条約に入っていない国々も巻き込んでもっと大きなうねりになっていくということを期待する」