「市街地の90%以上が破壊」アメリカ市民に声を届ける被爆者 対話通し思うことは《長崎》
長崎の被爆者たちが、核兵器廃絶への思いをアメリカの市民に届けるツアーを行っています。
被爆地と核大国・アメリカの市民が対話を通じて深めた思いは。加藤記者が取材しました。
アメリカ・シカゴで現地時間の14日。
被爆者 朝長 万左男さん
「市街地の90%以上が破壊されました」
大学病院で行われた集会で医学生や医療スタッフらに講演したのは、現役の医師で、長崎の被爆者の朝長 万左男さん80歳です。
自身が続けてきた研究の成果を交えながら白血病、がんの発症など原爆放射線の影響や心の傷が生涯にわたって続くことを訴えました。
その中では。
被爆者 朝長 万左男さん
「彼は92歳だった。彼は最初に(アメリカツアーに)手を挙げたが、その数か月後に亡くなった」
今年4月、92歳で亡くなった被爆者の早崎 猪之助さんについて生前の動画などを使い紹介。
晩年、白血病に近い血液の病気を発症し、アメリカ行きが叶わなかったと説明しました。
被爆者 朝長 万左男さん
「核兵器はこれ以上作ってはいけないし、二度と使われることがあってはならない。長崎を最後の被爆地にしなければならない」
被爆者3人と被爆2世ら10人は被爆者運動の継承を目指す「ヒバクシャ・ミライ・プロジェクト」の活動の第1弾として11月6日から3つの地方都市を訪れています。
シカゴ市庁舎で市関係者と面会した一行。
被爆者 朝長 万左男さん
「私たちは3世代で構成しています。被爆者と2世、そして彼女が3世です。このような代表団が日本から来るのはおそらく初めてじゃないか」
核兵器廃絶を目指すNGO「平和首長会議」に加盟するシカゴ市。
市議会は核兵器禁止条約への支持をバイデン大統領に求める決議を採択しています。
面会では「核兵器禁止条約への批准を国に働きかけてほしい」と訴え意見を交わしました。
市長代理 エイドリアン・トンゲートさん
「平和な世界の実現のためには被爆地からのメッセージは非常に大切で、国の指導者も注目すべきだ」
被爆者 朝長 万左男さん
「シカゴは将来アメリカの核廃絶運動の拠点になっていくのでは。アメリカの第3の都市の市長と議会がそろって核兵器禁止条約にも積極的に賛同していく方向でアメリカ政府をプッシュしてくれるとありがたい」
被爆者のメッセージをアメリカの市民に届ける今回のツアー。一行は現地時間の18日まで滞在します。