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記録的な大雨で県道が崩落…孤立状態となった地域の今は? 「ストレスがだいぶたまっている」「食料が一番必要」 島根県

2024年7月11日 19:30
記録的な大雨で県道が崩落…孤立状態となった地域の今は? 「ストレスがだいぶたまっている」「食料が一番必要」 島根県

梅雨前線の活動が活発となり、7月9日から雨が降り続いた山陰地方。島根県出雲市では一時、7月の観測史上最大の降水量となるなど、各地で記録的な大雨に見舞われました。

その雨の影響で出雲市の出雲大社から日御碕地区へと続く県道29号が崩落し、道路は全面通行止めにー。

三ツ國陽介 記者
「崩落から丸1日以上が経過しま したが、現在も復旧が進まず全面通行止めとなっています。そのため、私有地を使ってのう回路ができていますが、道幅が狭く車両の通行はできて いません」

いまだ復旧のめどは立たず。それでも7月11日はう回路を使って郵便局員の配達が再開していました。そして、午前11時ごろ取材班はう回路を通り孤立状態となっている日御碕地区へと入ることができました。

夏になり海水浴客などでにぎわうはずですが、多くの飲食店や土産物店は臨時休業に。閑散としていました。

地区にある民宿を訪ねてみると、観光客を受け入れる準備はできているものの、通行止めの影響で今週末までの予約はすべてキャンセルに。また、復旧のめどが立たないため、新規の予約の受け入れも停止しています。

民宿たかはし 髙橋英明 さん
「予約が入らないのと、物資の調達がなかなかここだけではそろわないので、お客さまを受け入れるとなると買い出しに行って、ある程度ものをそろえないといけないので、その辺が一番のネックですね」

また道路の崩落が起きた7月9日に海開きをした「おわし浜海水浴場」では、海水浴客を受け入れ始め1週間足らずで起きた災害に、海の家を運営する民宿も大きな打撃を受けていました。

民宿ちどり荘 阿部博子 さん
「もう死活問題みたいな感じ。(夏に)結構お客さんが多いので宿泊と日中と。困っています」

海開きから悪天候が続き、お客さんはほぼゼロ。復旧が見込めないだけに不安な夏が訪れていました。

民宿ちどり荘 阿部博子 さん
「仮設道路を作ってもらうと、お客さんも車さえ通れば来られると思うのでそれが1番の望みです」

取材班は再び商店が立ち並ぶエリアへ。石富一男さんが営む土産物店では、日御碕でとれた貝殻やふぐで作った雑貨などを扱っています。石富さんは、日御碕灯台が望める絶好の立地に店を構えながら、お客さんが来られないため、しばらく店を閉めているといいます。さらに石富さんが困っていることは他にもありましたー。

石富一男 さん
「障害がある子もいるから何とか(復旧を)何とか早くしてもらいたい」

それは、娘の夕華さんについてです。夕華さんには障害があり、平日は出雲市内の施設で過ごしているといいますが、7月10日から行くことができていません。夕華さんは、ドライブが好きなため、家族3人で町内をめぐることが今できる最大限の対応だといいます。

石富一男 さん
「施設の友達と過ごしてほしいけど、ストレスがだいぶたまっていると思います」

陸路が閉ざされた、まさに陸の孤島。

Q.何が一番足りていないですか?
住民
「食料・・・、一番必要ですね」
「ガソリンが切れだした車があるみたいで・・・」

食料や生活用品の不足が課題となる中、地区の住民が集まっていた日御碕コミュニティセンターを訪ねると、そこでは地区の防災担当が集まり今後の支援の在り方などを共有する防災会議が開かれていました。

住民
「お年寄りとか、一人暮らしとか、困っている方とかもいるのでそこは町内にお任せしますので」

話し合う住民の前を見てみると、パンや野菜などの大量の食料品が。午前9時過ぎ、実はこの2時間ほど前、日御碕からほど近い大社漁港では、国交省や出雲市の職員による支援物資の詰め込みが行われてました。陸路が閉ざされているため船を使って海上からの供給を試みたのです。

出雲市 飯塚俊之 市長
「要望も聞いて、いろいろなところに支援ができる態勢をくんでいきたいと思っています」

そして無事に野菜などの食料品は住民のもとへ。

住民
「本当にありがたいことです」

物資には野菜のほか臨時休校で余ってしまった給食用のコッペパンなども含まれるといいます。瞬く間にして生活が一変した被災地域。今後も継続的な支援が必要です。

    日本海テレビのニュース