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【特集】東日本大震災から13年~備えは進んでいるか~「日本海側の早い津波 どこに逃げる?」

2024年3月5日 19:30
【特集】東日本大震災から13年~備えは進んでいるか~「日本海側の早い津波 どこに逃げる?」

東日本大震災からまもなく13年を迎えます。
巨大な津波が町を飲み込んだあの日の教訓から備えはどのように進んでいるのか。
2回目は太平洋沖よりも早い到達が予想される日本海側の津波、避難への備えを考えます。

東日本大震災で八戸市を襲った津波の第1波は地震発生から36分後に到達しました。
こちらは日本海側でマグニチュード最大7.9の大規模地震発生を想定した第1波到達予想時間です。
深浦町舮作地区ではわずか6分など、どの地点もかなり早い到達が予想されています。

県防災アドバイザー山口大学大学院 瀧本浩一 准教授
「日本海側で起こる津波の特徴は津波を引き起こす地震の震源がひじょうに陸から近いんですね 太平洋側の津波よりもかなり早い時間で沿岸部に到着する特徴を持っています」

実際に17人が犠牲になった1983年の日本海中部地震では地震から8分で深浦町に津波が到達したとされています。
ことしの能登半島地震ではわずか1分で津波が押し寄せた地域もありました。

青森放送 甲地壮起 記者
7「五所川原市市浦では緊急の避難場所としてこちらの津波避難タワーが整備されています」

日本海に面した五所川原市市浦地区。
津波避難タワーは東日本大震災を教訓に高台がない磯松地区と十三地区に整備された指定緊急避難場所です。
避難場所と避難所。
似た言葉ですが、役割が違います。津波避難タワーのような「避難場所」は、危険が無くなるまで逃げ込む場所。
一方、「避難所」は避難生活を送る場所です。
津波の到達が早い場合、まずは「避難場所」を目指すことが重要です。

磯松地区の住民
「歳いってれば向こうまで逃げにいけないからとにかく地震だとなったらここのタワーに登るより無いと思ってる」

高さ8メートルの頑丈な津波避難タワー。
しかしあくまでも一時的に緊急避難するための場所です。

県防災アドバイザー山口大学大学院 瀧本浩一 准教授
「津波避難タワーを作ることによってまず津波の波から命は守られるのでないかと思っていますここで問題なのは津波が引くまで気象庁の大津波警報や津波警報が解除されるまでかなりの時間を要するんですねつまり津波避難タワーの上でしばらく過ごさないといけないという事態になります」

磯松地区の住民
「いざとなったら上れないかなと思ってるここは雨降ったり冬とかただ上りましたで終わるわけじゃない」

五所川原市防災管理課 中川智淑 課長補佐
「津波避難タワーに避難した後にすぐに移動できないことも考えられます防寒具、食料を用意しておくとかあとはふだん使っている薬などもあらかじめ備えておくことが重要だと思います」

住民が抱える不安はそれだけではありません。

磯松地区の住民
「上れるっていったら私たち世代までだと思う70歳代くらい」

頂上まで避難するには高さ8メートルの急な階段を上らなくてはいけません。

県防災アドバイザー山口大学大学院 瀧本浩一 准教授
「どうやって要配慮な方々からだの不自由な方々を上の階へ上げたら良いかこれはみなさんで勉強していただいて工夫が必要かなと思っています」

こうした課題をふまえ、市浦地区では海抜5メートルの高台にある旧金木高校市浦分校の敷地に避難所機能も備えたあたらしい避難拠点が完成しました。
車で移動できるよう駐車場も整備する予定で4月から利用が始まります。
避難の場所や設備は整いましたが、大切なのは自分がいる場所からどの避難先に向かうべきなのか、日頃から備えておくことです。

磯松地区の住民
「私自身は決まってないいざとなればどこに行くんだろうって」

県防災アドバイザー山口大学大学院 瀧本浩一 准教授
「避難場所と避難所の区別がつかない方がけっこうおられますどういうときはどういう避難所を目指さないといけないかそういったことを1度きちんと整理をしていただく必要があるのかなと思っています」

到達の早さが危険な日本海側の津波。
避難場所に駆け込むか、それとも避難所を目指すのかいま一度防災マップなどで確認が必要です。

    青森放送のニュース