【春の味覚】「行者ニンニク」栽培に取り組む農家 アレンジ料理も紹介 岩手・岩手町
岩手県岩手町で春の訪れを告げる山菜、行者ニンニクの収穫が始まっています。行者ニンニクを使ったどんぶりや揚げ物などアレンジ料理も紹介します。
(天ぷら揚げる)
春の味覚に春の音、「行者ニンニク」です。この行者ニンニクを岩手町で栽培しているのが、地元でも評判の千葉豊樹さんです。
千葉さん
「もう、こいつは匂いがするし、行者ニンニクの春の匂いだなって思ってます」
農業一筋59年の千葉さんは、5種類ほどの山菜を中心に栽培しています。早春を告げるイチオシの山菜が行者ニンニクなんです。
千葉さん
「まず味と香りがニンニクのような香りが強いんですよね。だからあんまり匂いが嫌だって人もあるしね、いやそれがおいしいって言う人も色々です」
千葉さんの山菜は、無農薬、無肥料で栽培しているそうです。実は過去に大失敗をしてしまったんだとか。
千葉さん
「前にあの、シドケというかモミジガサですか?あれ植えた時ある程度肥料を敷いて畑を作ったんですよ。全部死んでしまったんですよね。山菜に肥料やったら死んでしまうの当たり前なんだって言われてしまって」
無理に手を加えるのではなく、環境を整え見守る事こそ山菜を育てるうえで重要な事だと千葉さんは言います。
収穫した後は、奥さんのミサさんと出荷のためのパック詰め作業。最盛期には1日60パックを超える日もあるんだそうです。
千葉さん
「大変な事と言えば、毎日休みなく収穫しなければならない事が大変です。みなさんに買っていただけるから、山菜でも買ってもらえるのはいい事かなと思ってやってます」
パック詰めした行者ニンニクは、道の駅石神の丘などに毎朝出荷しています。この日は今シーズンの初出荷の日。毎年のことながら、やはり不安もあるようで。
千葉さん
「今年初めて出したから果たしてうまく売れてくれるかなと。春の中でも早い山菜ですから、春一番を感じられると思います」
今回「行者ニンニク」を使って、より芳醇な香りが楽しめるアレンジ料理を教えていただきました。まずはサーモンの刺身を用意し「かえし」を絡ませます。
料理長
「混ぜてから10分ぐらい置いておけば、ちょうどいい感じだと思います」
続いて、細かく刻んで軽くゆでた行者ニンニクにも「かえし」を絡ませます。ごはんの上に盛り付け、最後に卵黄を乗せて出来上がったのが、サーモンと行者ニンニクの漬け丼です!自宅でも手軽にできそうですね。
高間木シェフ
「サーモンはね、まず比較的あっさりと言いますか淡白な魚ですんで、行者ニンニクのパンチの効いたニンニク風味の香りと合わせてみようかなと思いました。行者ニンニクに関しましては、揚げる時間とかゆでる時間とか本当にサッとと言うか短時間で仕上げていただければより一層風味が感じられると思います」
行者ニンニクは1、2分を目安に火を通すと風味が損なわれないそうですよ。春を届ける千葉さんは、農業に携わっておよそ60年。しかし、実は40年続けているある趣味があるんです。それが、手作りの馬の置物です。カッターやドリルを使い加工から着色まですべて手作業。この40年間で作った置物の数はおよそ100体にも上ります。
千葉さん
「まず板にこういう風に書くんですよね。形と言うかこれをね。そしてあの、ドリルでこう抜き取ってそれから今度はカッターナイフで削っていくんですよ。そしてこういう風に仕上げるわけです。今はもう見ることもないしこれからの若い人たちはまずわからないだろうから残そうかなと思って作り始めたんです」
農業に趣味と、毎日を元気に生活する千葉さんのパワーの源はやっぱり奥さんが作る「行者ニンニク料理」。料理中のミサさんにお話を聞いてみると…
香りがすごいですね!
ミサさん
「生だすごくきつくて、天ぷらにするとあんまりきつくない」
その香りが奥さんは好きなんですか?あんまり好きじゃない?
ミサさん
「本当はキライなの、ウチで(主人が)好きだからしょうがないから」
完成したのは、行者ニンニクの玉子とじに天ぷら。初物の味は格別なのではないでしょうか?
千葉さん
「初めて食べるからそう思うのかもしれないけど、すごく新鮮っつうかすごくおいしいです」
春の暖かな日差しを受け、元気に葉を広げた千葉さんの「行者ニンニク」はまもなく最盛期を迎えます。
鹿の角の刀掛けなども作成している