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大規模な山林火災に襲われた岩手県大船渡市では、名産のワカメの収穫が再開しました。一方で、収穫作業の遅れに不安の声も上がっています。 「前に木があるからな!」 真剣な目で船を操るのは、大船渡・綾里のワカメ漁師佐々木晶生さんです。 到着したのは、収穫の最盛期を迎えているはずだったワカメの養殖場。 マルカツ水産 佐々木晶生 社長 「ゆっくりあげろよロープひっぱ って一緒にあげろ」 漁師たちが引き上げたのはワカメではなく、巨大な流木。火災で焼け落ちた木が養殖場に流れ込みいたるところに浮かんでいます。 漁師 「そこにもあるそこにも」 2月下旬に始まったワカメの収穫は、火災の影響でおよそ3週間中断していました。それだけに収穫の再開が待たれていますが、流木を引き上げなければ仕事になりません。 マルカツ水産 佐々木晶生 社長 「ワカメ自体に傷をつけたり施設 を損傷したり、見つけるたびに 対処する」 海の幸にも影響を及ぼしている山林火災。 綾里漁協では倉庫が焼け、保管していた定置網などの漁具を失いました。被害額はおよそ4億5000万円です。漁協は新たな網の購入を決め8月ごろからの定置網漁再開を目指しています。 <ワカメの収穫> 一方、ワカメ漁師の佐々木さん。大きな流木を回収しようやくワカメの収穫を再開することができました。 ワカメは成長しすぎると商品価値が低くなるため、4月末までに収穫しなければならず、作業を急ピッチで進める必要があります。 マルカツ水産 佐々木晶生 社長 「3週間(の遅れ)は大きな期間で、不安な気持ちはまだまだあ ります」「できる限り力を尽くして収穫し ていきたい」 <給水所> 赤崎町合足と三陸町綾里の903戸では飲み水が使えない状態が続いていて、住民はこまめな給水を強いられています。 住民は 「あんまり1杯ずつ持つのも大変 だと思ってね。買い物来たつい でに」 <ホームセンター> 給水所の1つとなっているホームセンターでは、給水タンクや飲料水の売り場を増設しています。 DCMニコット綾里店 浅野孝之さん 「水のタンク、2リットルの水が 売れています」 <診療所> 一方、綾里地区唯一の診療所は、13日から診療を再開しました。薬の代金を支払いに来たという女性は―。 綾里地区の住民 「この診療所があるから、みんな助 かるのでは」「私みたいに車ない人は余計助り ます」 <卒業式> 火災が激しかった赤崎町の東朋中学校。33人の卒業生が門出の日を迎えました。 東朋中学校は山林火災で一時休校となり、3月10日に再開したばかり。卒業生のうち7人はいまも避難中です。 卒業生代表 磯谷あかりさん 「私たちのためにこのような素晴 らしい式を挙行してくださり、あ りがとうございます」「どんな時でも物事を前向きにと らえ、感謝の気持ちを忘れず頑張 ります」 高校受験を控えた大切な時期に避難生活を送りましたが、慣れ親しんだ母校から旅立つことができました。 卒業生 志田里歩さん 「避難所にいて不安だったけど、みんなの笑顔が見られてすごく いい卒業式だったと思います」 卒業生 池田駿さん 「こういう林野火災とかもあった ので、誰かのために動ける人であ りたいと思います」 火災に負けず一回り成長した卒業生たち。これからの大船渡を担っていきます。
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