“カラス博士”に聞く──電柱に巣を作るワケ この季節に多い「停電」防ぐには? 見つけやすいポイント【#みんなのギモン】

そこで今回の#みんなのギモンでは、「カラスの巣で停電 どう防ぐ?」をテーマに解説します。
山崎誠アナウンサー
「東京電力によると、12日午後5時前から、東京・世田谷区や三鷹市、調布市、神奈川・川崎市の7800軒余りで停電が起きました。その原因はカラスの巣だったということです」
「東京電力が撮影した巣の写真を見ると、黒っぽく焦げているようにも見えます」
森圭介アナウンサー
「電柱の上の部分ということですよね?」
山崎アナウンサー
「そうですね。カラスが巣作りのために集めてきた材料が、何らかの原因で電線に接触してしまったということです」
森アナウンサー
「カラスの巣はごくたまに見ますが、停電にもなるんですね」
桐谷美玲キャスター
「私はあまり見たことがなかったんですが、カラスの巣が原因の停電はよくあるんですか?」
山崎アナウンサー
「結構全国各地で起きています。2021年5月、東京・足立区で最大5500軒の停電が発生しましたが、カメラが捉えたのは、電柱の上の黒焦げになってしまったカラスの巣です」
「この巣がもとで、ショートが起きた瞬間とみられる映像も残されています。大きな音とともに火花が飛び散り、手前にある信号機も消えてしまうのがわかります」
鈴江奈々アナウンサー
「こういうことが起きているんですね」
忽滑谷アナウンサー
「どうして爆発みたいな火花が起きるんですか? カラスが接触したわけではないですよね?」
山崎アナウンサー
「そうですね。この時も原因とみられていたのはカラスの巣ですが、現場の地面に落ちていたのが針金ハンガーです」
「直接このハンガーが原因かはわかっていませんが、巣に使われていたハンガーなどが何らかの原因で電線に触れることでショートして火花が飛び散り、停電が発生したとみられています」
森アナウンサー
「カラス自体がぶつかってではなく、巣が原因でということなんですね」
山崎アナウンサー
「巣の材料が接触してショートを引き起こしてしまうことは多いそうです」
山崎アナウンサー
「そして、こうしたカラスの巣が原因の停電は、気温が上がって暖かくなってきた今の季節に起こりやすいです。その理由は、カラスの習性にあります。日本屈指のカラス博士として知られる、宇都宮大学の杉田昭栄名誉教授に聞きました」
「日本のカラスはまさに今、3月半ば~4月半ばが繁殖のための巣作りのピークなんだそうです」
「カラスの種類の中でも、細いくちばしが特徴のハシボソガラスは電柱に巣を作りやすいといいます。この種のカラスは大陸の草原で進化した生き物なので、高くて視野の開けた場所に巣を作りたがる習性があるのが理由です」
桐谷キャスター
「この時期のカラスは気が立ちやすいと聞いたことがあります。子どもと公園で遊んでいた時に襲われかけたことがあって、怖かったです。ただカラスに悪気はもちろんないと思うので、巣を作って停電になってしまうのも大変ですよね。防ぐ方法はあるんですか?」
山崎アナウンサー
「東京電力では、皆さんの家の周りに針金など巣の材料になる金物を放置しないように、カラスが集めて巣作りのために持っていかないようにと、呼び掛けています。また、巣を見かけた際はぜひ連絡をということです」
山崎アナウンサー
「また、鳥の巣を見つけた人に電子ギフト最大1万円相当プレゼントするというキャンペーンを始めた電力会社もあります」
森アナウンサー
「よっぽど深刻ということの裏返しでもありますよね」
山崎アナウンサー
「日本全国で広く問題視されているということでもあります。毎年約1万個のカラスの巣の撤去に追われている北陸電力送配電は、2022年から電柱にできたカラスをはじめとする鳥の巣の写真の提供を呼び掛けています」
「専用のフォームから巣を撮影した写真や、プレートなどにある電柱の番号などを入力。そして、第一発見者だった場合に限り、謝礼として300円分のアマゾンギフトカードがプレゼントされます。今年も3月~5月に行われ、期間内は上限5000件まで受け付けます」
「さらにランキングもあり、最も多く第一発見者になり投稿数1位となった人には1万円分、2位は5000円分、3位は3000円分といった特別謝礼のアマゾンギフトカードをプレゼントしています」
森アナウンサー
「何個も見つけられるんでしょうか…。僕は電線が好きで、写真を撮っていてよく見ています。そのため鳥の巣もよく見つけるし、曲がっているハンガーも見つけます」
鈴江アナウンサー
「電線をよく見ていると、(巣やハンガーを)見つけられるものなのですか?」
森アナウンサー
「そうです。枝やハンガーが下に落ちていて、(上を)見ると巣があったりします」
山崎アナウンサー
「投稿件数は毎年増え続けていて、去年は3200件集まりました。今年は3月3日からスタートして、既に500件集まっているということです」
山崎アナウンサー
「このように各地の電力会社が、『カラスや鳥の巣を見つけたら連絡してください』と呼び掛けていて、例年この季節は撤去に追われています。北陸電力によると、カラスの巣を見つけやすいポイントは3つあります」
「1つ目は公園や広場の近く。2つ目は細い路地や住宅街の電柱。3つ目は、過去にカラスが巣を作った場所の近くです。カラス博士の杉田名誉教授によると、カラスは去年と同じ場所に巣を作りたがる習性があり、撤去してもまた巣を作る可能性があるそうです」
「北陸電力では、過去に発見された鳥の巣マップも作っています。繁殖期のカラスは攻撃性が高く、人を襲うこともあります。巣を見つけても近づきすぎず、電力会社などに連絡するようにしてください」
(2025年3月13日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)
【みんなのギモン】
身の回りの「怒り」や「ギモン」「不正」や「不祥事」。寄せられた情報などをもとに、日本テレビ報道局が「みんなのギモン」に応えるべく調査・取材してお伝えします。(日テレ調査報道プロジェクト)