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抗がん剤治療で「味覚障害」……どんな味に? “味の変わるレストラン”で再現 「喜びの食がストレスに」 どう工夫すれば?

2025年3月14日 9:48
抗がん剤治療で「味覚障害」……どんな味に? “味の変わるレストラン”で再現 「喜びの食がストレスに」 どう工夫すれば?

主な副作用に倦怠(けんたい)感や脱毛が挙げられる抗がん剤治療ですが、約7割の患者に味覚障害が起きます。その味覚の変化を体験してもらうイベントで、zeroのスタッフが試食しました。味覚障害の種類は多く、症状に合わせた工夫が求められます。

■「味の変わるレストラン」…その味は

13日、東京・千代田区。スプーンにのせられた一口大の生ハムやトマトパスタ、ハンバーグ…。14日までの2日間限定で開催している試食会「味の変わるレストラン」(すでに応募受付終了)で、3品の料理が出されました。

これらは抗がん剤治療が引き起こす味覚障害を再現した料理で、zeroスタッフの堤省悟が実際に食べてみました。

生ハムは塩味を想像していたものの、口に入れた瞬間に甘いものでした。肉をかんでいるとは思えない味で、甘みもあり、若干の酸っぱさも感じました。生ハムの塩気とはほど遠い味が、口の中に広がっていました。

パスタ料理は口に入れた瞬間に、一般的なパスタでは絶対に感じないような苦みがいきなり飛び込んできました。

ハンバーグは舌に当たった瞬間に、何も味がしないことが分かりました。口の中にずっと変な感覚が残っている状態で、あまり食べたい味ではありませんでした。

■味覚障害を経験した落合シェフの姿も

抗がん剤治療は、倦怠(けんたい)感や脱毛などが主な副作用として挙げられますが、約7割の患者に味覚障害が起きるといいます。がんを経験していない人にも味覚の変化という悩みを知ってもらおうと、この試食イベントが開かれました。

会場には、イタリアンで有名な落合務シェフの姿も。落合シェフは過去には2度がんを患い、治療中に味覚障害を経験しました。

落合シェフ
「仮退院みたいなことをさせてもらったことがあって、その時に家でご飯を作ったんです。その時に妻が『しょっぱくて食べられないよ』と。味覚障害とかって出るんだな、これ俺仕事できないじゃんとか、一瞬思いました。その時は」

落合シェフは抗がん剤治療を終え、味覚も戻ったといいます。ただ、人によっては治療後2、3か月ほど障害が残る人もいるといいます。

■参加者「食事が楽しめなくなる」

試食会に参加した人に話を聞きました。

20代
「ひいおばあちゃんが、がんで亡くなっていまして。(味覚障害を)正直知らなくて、今回のイベントで初めて知りました」

別の20代
「こういう感覚なら毎日の食事、楽しかった食事が楽しめなくなるなと思いました」

他にも「食べることは楽しみなのに…」「ただでさえがん治療でつらい中、喜びの部分でもある食がストレスになってしまうのは本当にしんどいという体験をしました」といった声が聞かれました。

■様々な種類が…味覚障害の症状

藤井貴彦キャスター
「抗がん剤治療に伴う味覚障害の症状は、様々な種類があるのですね」

小栗泉・日本テレビ解説委員長
「味がしないといった『味覚消失』や、何を食べても苦かったり甘かったりする『異味症』、金属の味や砂のような食感がする『悪味症』。他にも、特定の味だけが感じにくい『解離性味覚障害』などがあるといいます」

■医師「味付けやメニューの工夫を」

藤井キャスター
「調理の工夫で何か対応できることはあるのでしょうか?」

小栗委員長
「国立がん研究センター中央病院の加藤健医師は『味覚障害の症状がある人には、味付けやメニューなどで工夫してサポートすることが大事だ』と話しています」

「例えば、味が感じにくいという人には濃い目の味付けにする。酸味を加えると味をはっきり感じさせる傾向があり、特にマヨネーズは何に加えても味を認識しやすいということです」

「量が多いと食べ切れないという人におすすめなのが、乳脂肪分を含んだチーズなどです。がんの治療中は通常の1.3倍のカロリーが必要になってくるので、味が濃くて少ない量でも高カロリーを摂取できるのが理由だということです」

「また温かい料理を食べると気持ち悪くなるという場合には、冷ましてから提供したり、常温食にしたりすることで症状が緩和されることがあるということです」

■小島さん「食を見直すきっかけに」

藤井キャスター
「人によって症状が違うということをしっかりと理解し、それぞれの症状に合わせた周囲のサポートが大切ですね」

小島よしおさん(お笑いタレント・『news zero』木曜パートナー)
「味覚障害は聞いたことがありましたが、これだけいろんな種類があるのは初めて知りました。番組のロケで昔、あるお茶を飲んだら甘みを一切感じなくなるという実験のようなことをしました。飲んだ後に甘い大福を食べたら何も感じない、粘土のような…」

「こういったレストランのチャレンジを知ることで、普段の食事や食生活を見直すきっかけになればいいなと思いましたし、僕もそうしたいです」

(3月13日『news zero』より)
最終更新日:2025年3月14日 9:48