【南部鉄器づくり一筋】「釜定」3代目代表・宮伸穂さん「黄綬褒章」受章 岩手・盛岡市
ことしの「秋の褒章」で、岩手県内では10人とひとつの団体が受章しました。その道一筋に励んだ人に贈られる「黄綬褒章」を受章した、盛岡市の南部鉄器職人の男性は伝統産業に常に危機感を持って、モノづくりを続けてきたと語ります。
宮伸穂さん
「人のまねはするなと、それから今まで自分がやってきたものを、もう一回同じことを繰り返してはいけない。絶えず自分のコピーをしちゃだめだと」
およそ140年前の明治41年から、南部鉄器を製造、販売してきた盛岡市の「釜定」です。鉄を流し込む鋳型を磨いているのが、3代目代表の南部鉄器職人・宮伸穂さん。
工房の製品は、伝統的な「あられ模様」の鉄瓶のほかにも、ケヤキの取っ手を外せる鍋は、和洋中の料理に使えて、10年前にグッドデザイン賞を受賞しました。
直線的な造形が目を引くこちらは、鉱石の結晶をモチーフにした鉄の小箱です。
宮さん
「伝統ってよく言うんですけども、やっぱり時代に対応できない生物や産業っていうのはやっぱり消えていく」
現代人の好みに合うデザインと機能を備えた新しい商品を、絶えず作ってきました。このほか、さび付きにくい鉄器の作り方を追求し、商品の価値を高めたとして、去年「現代の名工」にも選ばれました。
宮さん
「このように物を作って人に評価されるというのは幸せで運のいいこと、名誉なことだと思っております」
この道一筋47年。宮さんはこの秋、「黄綬褒章」を受章しました。