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小林製薬「紅麹」健康被害で創業家の会長・社長が『引責辞任』へ 社長の後任は専務が昇格 23日決定

2024年7月23日 10:35
小林製薬「紅麹」健康被害で創業家の会長・社長が『引責辞任』へ 社長の後任は専務が昇格 23日決定
小林章浩社長

 小林製薬の小林一雅会長と小林章浩社長が、紅麹を含む健康サプリメントをめぐる健康被害の問題の責任をとり、辞任する方針を固めたことが分かりました。 

 小林一雅会長は1976年に4代目の代表取締役社長に就任し、2004年からは会長を務めていて、小林章浩社長は2013年から6代目の代表取締役社長に就任しています。

 23日に開かれる臨時の取締役会で審議され、社長の後任としては、山根聡専務が務める見込みで、承認されれば、創業家以外から初の社長が誕生することとなります。

 小林製薬の紅麴を含むサプリメントの健康被害をめぐっては、21日時点で、判明していた5件の他にも、死亡に関する相談が274件あり、このうち97件が調査対象になっています。

◆公表まで約2か月 目立った対応の遅れ

 一連の問題をめぐっては、小林製薬は最初の健康被害の報告を1月15日に受けていたにもかかわらず、公表したのは3月22日で、発表までに2か月以上が経過していたことに、対応の遅れが指摘されていました。

 3月の会見では、小林製薬は「本来はもっと早く報告すべきだったが、何が原因か分からず、できるだけ広く可能性を調べた」と釈明していましたが、その後行われた株主総会では、経営陣の引責辞任を求めるなど株主から厳しい意見が相次ぎました。

 こうした指摘に対し、小林製薬は4月末、小林一雅会長や小林章浩社長ら3人の社内取締役を除く、4人の社外取締役のみで検証・調査を進めることを決定。また、独立性・客観性をもった3人の弁護士からなる「事実検証委員会」を設置し、法規制の遵守や公表の時期、当時の経営陣の意思決定に問題はなかったか検証を進めてきました。

◆腎関連疾患以外の相談を報告せず 原因物質の特定は今も続く

 6月28日には、厚生労働省が、これまで5人としていた死亡事例について、他に死亡に関する相談が170事例あったと発表しました。

 腎関連疾患以外の診断を受けたケースを報告の対象としていなかったことによるもので、国が170事例について報告を受けたのは前日の6月27日でした。武見厚労相は「小林製薬の判断により死亡者数の報告をしなかったことは極めて遺憾である。今後は厚生労働省が管理し、小林製薬に任せておくわけにはいかない」などと怒りをあらわにしました。

 一方、原因物質の特定は、現在、国立医薬品食品衛生研究所が中心となって調査が進められています。これまで、健康被害情報のあるロットの製品や原料からは、「プベルル酸」と、既知の天然化合物ではないと推定される2つの化合物が検出されています。

 「プベルル酸」は、青カビ単独から生成される物質で、腎障害を引き起こすことが確認されています。また、製品を製造していた大阪工場と和歌山工場で青カビが確認されていて、培養段階で混入したものとみられています。一方、別の2つの化合物については、青カビと紅麹菌が共に培養されることで生成されたと推定されていますが、腎障害との関連や他の健康被害への寄与の可能性は分かっていません。

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