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学校のプールで“日焼け止め禁止” 理由は「水質管理」?…専門家の見解は 小中の 3割でクリーム禁止【#みんなのギモン】

2024年7月23日 10:04
学校のプールで“日焼け止め禁止” 理由は「水質管理」?…専門家の見解は 小中の 3割でクリーム禁止【#みんなのギモン】
プールの授業で、日焼け止めの使用を禁じる学校が少なくありません。保護者からはギモンの声が上がります。ある調査では、小中学校の約3割、高校の半数弱で日焼け止めクリームの使用がNGでした。水質管理が理由とされていますが、実際どうなのでしょうか?

そこで今回の#みんなのギモンでは、「プールの“日焼け止め”禁止?」をテーマに、次の2つのポイントを中心に解説します。

●学校の授業で“禁止”ナゼ?
●市民プールなどどう対応?

■大勢がプールを楽しむ東京サマーランド

山崎誠アナウンサー
「22日も東京都心は暑くなりました。最高気温は36.6℃と、今年一番の暑さを記録しました。夏休みに入った子どもたちも多いので、プールに行かれている方も多いのではないでしょうか」

「東京・青梅の最高気温は37.0℃をマークしました。午後4時20分時点で30.4℃です。青梅に近い東京・あきる野市の東京サマーランドのライブ映像を見ると、プールに入って楽しんでいる方で賑わっています」

「こちらの施設では、日焼け止めは禁止されていないということです」

森圭介アナウンサー
「ラッシュガードを着ている方もいますが、日焼け止めは海やプールにかかわらず、日常生活でみんな使っているじゃないですか。私の子どもの学校も日焼け止め禁止なんですが、意見が分かれています」

■中学生の母親「肌をむき出しで…」

山崎アナウンサー
「禁止されているところが多いということです。東京都内の中学校に子どもが通う母親から、『プールの授業で日焼け止めの使用が禁止。なぜダメなのかギモンです』という声が寄せられました。この学校では屋外のプールで授業が行われているそうです」

「母親は『外を歩くだけでジリジリと痛みも感じるような中、学校のプールで肌をむき出しの状態で日焼け止めを禁止するのは、学校の対応としていかがなものでしょうか』と話し、日焼け止めの使用を認めてほしいということでした」

鈴江奈々アナウンサー
「お子さんによって肌の質は違うと思いますし、私自身も日焼けすると赤くなってやけどみたいになるタイプです」

「お子さんを見ているお母さんからすると、必要と思えばその判断に応じてできるようになったらいいなと思います。ただ、学校には学校なりの考え方があるでしょうし、なかなか難しいですよね」

■中学校が配ったプリントにある「理由」

山崎アナウンサー
「環境省によると、強い紫外線を受けると皮膚の炎症が起きたり、長年浴び続けるとしわやシミ、皮膚がんを起こしやすくなる危険性があります。ではなぜ、この中学校は日焼け止めを禁止しているのでしょうか?」

「学校から配られたという、水泳のルールが書かれたプリントを母親に提供してもらいました。『日焼け止めを塗って、水泳の授業に参加することは禁止とする』とあり、『プールが汚れ、他学年・他クラスに迷惑がかかる』と理由も記されていました」

「当該中学校を管轄する教育委員会は取材に『プールの授業のルールについてはそれぞれの学校で決めている。この学校ではラッシュガードの着用は認められているが、一部の教員が水質に影響がないよう、日焼け止めの使用をやめるよう指導していた』と答えました」

■クリームは?…日本学校保健会が調査

斎藤佑樹キャスター
「子どもの頃も学生時代も、日焼け止めを塗るという習慣がなかったんですよ。ただ、『あの時からずっと日焼け止めを塗っていたら、自分の肌ってどうなっていたんだろうな』と思っています」

河出奈都美アナウンサー
「他の学校がどうだったか分かりませんが、私の学校ではプールの授業でも日焼け止め禁止のルールは特になかったような気がします。そのため、塗ったり塗らなかったりしていたんじゃないかなと…」

「他のプール施設でも、基本的には家族に『塗りなさい』と言われていました。日焼けで痛くなってしまうので」

山崎アナウンサー
「時を経てルールが変わっているかもしれませんが、水泳の授業での日焼け止め禁止はこの学校に限ったことではありません」

「日本学校保健会が2015年に行った調査によると、屋外にプールがあり、日焼け止めクリームの使用を禁止している全国の小中学校は約3割。小学校は29.9%、中学校は31.6%でした。高校は半数近い48.5%、特別支援学校は19.7%が禁止でした」

■皮膚科医ら、水質への影響を調査

山崎アナウンサー
「では、日焼け止めを使うとプールの水質に影響があるのかどうか。2007年、小学校の児童30人が日焼け止めを塗り、約2か月間プールの授業をして水質に変化があるのか、皮膚科医ら(佐々木りか子氏・資生堂)が調査しました」

「その結果、文部科学省や環境省が取り決める基準内に収まっていたことが分かりました。また日本臨床皮膚科医会と日本小児皮膚科学会も、耐水性の日焼け止めを使用しても汚濁されないことは複数の実証実験で明らかになっているとしています」

■「許可しましょう」…専門家の見解は?

山崎アナウンサー
「その上で、日本臨床皮膚科医会と日本小児皮膚科学会は『必要な時は日焼け止めの使用を許可しましょう』と学校や保護者に求めています。また日本学校保健会も『日焼けしやすい児童生徒や、強く反応が出てしまう光線過敏のある児童生徒には、日焼け止めクリームを使用させてください』としています」

森アナウンサー
「水質が問題だったら、『水が汚れた』というデータがないと説得力はないなと思いますし、もし仮にダメだったとしたら、学校にはラッシュガードの使用を認める、または日よけのテントをきちっと作るなどの対策を講じてほしいと思います」

■一般のプールではOK?NG?

森アナウンサー
「一般の市民プールはどうなっているんでしょうか?」

山崎アナウンサー
「every.が調べたところ、東京サマーランドや、埼玉・所沢市の西武園ゆうえんちは、日焼け止めの使用はOKということでした」

■区営や市営は?都内15施設に取材

山崎アナウンサー
「一方で区営や市営のプールについて、every.が都内にある15の施設に問い合わせたところ、11の施設で禁止でした。理由は『水質管理のため』で、日焼け止めをつけたまま入ると水が汚れる、ということでした」

「ただ、あくまで水質管理のためであり、プールサイドでは日焼け止めはOK。塗った日焼け止めは、プールに入る前にシャワーで落としていただければいいですよ、という所もありました」

■子どもの時からの紫外線対策の大切さ

斎藤キャスター
「僕はプロ野球選手になってから日焼け止めを塗るようになったんですけど、日々の疲れが全然違うんです」

森アナウンサー
「日焼けすると疲れますもんね」

鈴江アナウンサー
「消耗するんですね」

斎藤キャスター
「毎日やってるから、炎症しているんだなというのがよく分かるんですよ。何かしらの対策はしないといけないなとは思います」

山崎アナウンサー
「強い日差しを浴び続けた後は、体が熱を持って疲れているのが分かりますからね。日本臨床皮膚科医会などは、『子どもの時から適切な紫外線対策を行うことは、生涯にわたって健やかな肌を保つ生活習慣の1つです』としています」

「プールや屋外での活動などで、適切な紫外線対策を求めているんです」

鈴江アナウンサー
「暑さという環境がどんどん変わってきていますので、これまで大丈夫だったからそのままのやり方で、というのが通用しなくなってきていると思います。環境に応じて対策もアップデートしてもらいたいですし、個人としてもできることを工夫したいですね」

山崎アナウンサー
「強い日差しの浴びすぎというのは、大人・子ども問わず健康に悪影響を及ぼします。熱中症とともに紫外線対策も積極的に行っていきましょう」

(2024年7月22日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)

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https://www.ntv.co.jp/provideinformation/houdou.html