バーベキュー「禁止」「有料化」続々──“迷惑行為”の深刻な実態 「軽トラ 1 台分のゴミ」「無法地帯」…変化は?
無料でバーベキューを楽しめるはずの場所で今、禁止や有料化の動きが出ています。背景にあるのは、ゴミの放置や路上駐車といった深刻な問題です。今年から条例による禁止に踏み切った栃木・鹿沼市では、毎日のパトロールによって効果が表れています。
バーベキュー人気が高まるこの時期。無料でバーベキューができる東京・奥多摩町の河川敷では、日陰でバーベキューをしている人たちの姿がありました。ただ、よく見てみると直火でやっています。
このエリアでは直火は禁止されています。直火は石が熱で割れて鋭くなり、ケガをする恐れもあるなど、危険な行為。バーベキュー客に話を聞いてみました。
──直火はNGだと知ってました?
「それはちょっと…。バーベキューみんなもやっているので、大丈夫かなと」
直火でバーベキューをしていた別のグループも、直火禁止を「知らなかった」と回答。立ち去ると、そこにはゴミが捨てられていました。この周辺ではバーベキューのゴミ問題が深刻で、去年の7月には、軽トラック1台分が放置されていたこともあります。
無料でバーベキューを楽しめるはずの場所で今、一部の人の迷惑行為により、禁止や有料化の動きが出ています。
栃木・鹿沼市を流れる大芦川。栃木県内から来た人は「きれいなので、魚もいるし、遊ぶには最高ですね」と言います。透明度が高く、家族での川遊びや無料のバーベキュースポットとしても人気の場所でした。
しかしゴミの放置や路上駐車など、一部の人たちによる迷惑行為が深刻な問題になっていました。
地元ボランティアは「去年までは無法地帯みたいな感じで。毎日でもゴミ拾いが大変」、地元の人は「路上駐車はひどかったよ。(道路に)半分ぐらい出ても平気で止める」と嘆きます。
長年問題が改善されなかったことを受け、市は今年から、一部の場所を除いて大芦川流域でのバーベキューなどを条例で原則禁止にしました。期間は7月6日~9月30日で、罰則は1人あたり最大5万円です。
至る所に「バーベキュー禁止」の看板があり、期間中は市職員らが毎日パトロールしています。
同行取材をしていると、炭の箱を見つけたパトロール隊が、河川敷のグループのもとへ確認に向かいます。そこにはガスバーナーもありました。
パトロール隊
「バーベキューはなさってます?」
河川敷にいた人
「やってないです」
パトロール隊
「炭が入ってる、炭の箱が(見えた)」
河川敷にいた人
「いすにしてるだけです」
パトロール隊
「バーベキューがダメなのは聞いている? ちなみに(罰則は)最大5万円」
河川敷にいた人
「1人?やばっ」
条例について説明し、「ご協力よろしくお願いします」とバーベキューをしないよう呼びかけました。
効果は徐々に表れているようです。パトロール隊が声をかけると、ある利用者は「(禁止は)分かってます」。パトロール隊が「食事だけ持ってきてるのは大丈夫」と伝えました。
別の利用者からは「バーベキューしません。看板に書いてる」「本当はバーベキューやろうと思ったけど、まずいなと思って」という声が聞かれました。
地元の人は「ゴミはずいぶん少なくなってきた」、地元ボランティアも「バーベキューが禁止になって、雰囲気のいい川遊び場になった」と変化を実感しています。
夏休みになると人出が多くなるため、パトロール隊を増員するといいます。
週末、バーベキュー客などでにぎわう埼玉・日高市にある巾着田曼珠沙華公園。市で商工観光を担当する澁谷宜範主任は「実証実験として河川での火気の使用、バーベキューの有料化をします」と言います。
夏休み中のバーベキュー利用について初めて有料化することにしました。実証実験は8月5日~18日で、事前予約は1000円、当日受付は1500円、小学生以下は500円、未就学児は無料というもの。実証実験をする理由は、ゴミ問題です。
「ゴミ持ち帰ってくださいという形だったんですけれども、使ったコンロがそのまま置いてあったりですとか…」と振り返る澁谷主任。これまで回収にかかるお金は市が負担してきましたが、有料化することでゴミ箱を設置するなどの費用に充てるといいます。
都会から来た利用客
「その分便利になる、より楽しくできるのであれば、有料化も別にかまわない」
地元の利用者
「マナー守れば、みんな楽しく使えるのに」
結果を見て、早ければ来年度から、正式な有料化に踏み切る可能性があるということです。
(7月17日『news every.』より)