巨人戦中継でみる「自由視点映像」ってなに? 交流戦Vかかる18日の日テレ中継では「二遊間スペシャル」! 自由視点映像を駆使した企画
巨人・坂本勇人選手の華麗な守備や、キャプテン岡本和真選手のホームラン映像を様々な視点から見せてくれる、新しいスポーツ中継のツールとして活用されています。
これはキヤノン、読売新聞社、そして日本テレビが連携し、「野球観戦の新たな楽しみ方」を提供したいという思いで始まったプロジェクトの産物。今回はこの自由視点映像がどのように作られているのかを紹介します。
■自由視点を可能にしているのは・・・
自由視点映像=どの視点からでも見ることができる映像は、キヤノンが開発した「ボリュメトリックビデオシステム」と呼ばれるもので生成されています。
ボリュメトリックビデオシステムとは、撮影した映像から3D空間のデータを作る技術です。複数のカメラで同時に被写体を360度から撮影し、3Dデータを作製するというもの。
東京ドームの内野フィールドを余すところなく、3D空間化の実現をするには、98台の高解像度カメラが必要でした。外野までをカバーするなら、この4、5倍ほどのカメラ台数が必要になるといいます。
東京ドーム内では、カメラは主にキャットウォークといわれる屋根下の通路に設置されていますが、バックスクリーンや観客席の後方にもいくつか設置されています。
その98台のカメラで360度から撮影された選手やボール、審判などの“被写体”の形状を立体のドットで記録し、3Dモデルを作製します。それを背景(東京ドームのグラウンド)と合成することで、3D空間ができあがります。
そのできあがった3D空間内であれば、どこにでも視点を定めることが可能になります。つまり、選手の真後ろからでも、マウンドのアンツーカー(土部分)からでも、キャッチャーや審判の位置からでも、3D空間内なら“どこからでも”プレーを見ることができるんです。
3D空間内での操作はジョイスティック付きのコントローラーを使用。野球中継ではライブ感、つまりスピードが大切です。そのため、経験を積んだディレクターとスタッフが瞬時に視点を定め、放送に反映させています。
■海外でもNBA2チームが・・・
海外でもこのシステムは使用されていて、NBAのクリーブランド・キャバリアーズとブルックリン・ネッツの本拠地には、ボリュメトリックが常設されています。東京ドームでも今年からは常設となり、日本テレビの中継で毎試合、自由視点映像が生成されています。
将来的には自分のタブレットで視点を変えて、試合の映像を見ることも、臨場感あるVR(バーチャルリアリティー)への応用も。可能性が無限に広がる、ボリュメトリックビデオシステム。スポーツの分野だけにとどまらず、古典芸能、医療関係、教育の分野からも、取り入れたいという声があがっているそうです。
交流戦Vがかかる6月18日の巨人-楽天は日本テレビで午後2時から放送されますが、この日は、DRAMATIC BASEBALLプレゼンターの亀梨和也さんと、井端弘和さんを副音声ゲストに招き「二遊間スペシャル」を予定されています。「自由視点映像」のコントローラーを放送席に置いて、現役時代守備の名手として活躍した井端さんの解説に合わせ、自由視点映像を動かし、セカンドとショートの守備を深掘りします。