【特集】115年ぶりの変更「拘禁刑」導入 インタビューで見えた受刑者の思いと刑務所が目指すもの
今年、実に115年ぶりに変わる刑罰の仕組みについてお伝えします。
罪を犯した人に対して課す刑罰として、これまで設けられていたのは、「懲役」や「禁錮」などでした。
裁判のニュースなどで耳にしたことがあるかと思います。
この2つの刑罰が、今年6月、「拘禁」に一本化されます。
大きく変わる点は、受刑者の年齢、性格、背景などを踏まえた、柔軟な指導、教育方法になることです。
刑務所の中で黙々と働くという、いわば型にはまった刑罰に、「働くことだけではない方法」を積極的に取り入れながら、受刑者の更生を図る仕組みに変わっていきます。
大きな転換点を迎える刑務所は、どのように変わっていくのか。
私たちは今月、3日間秋田刑務所を訪れ、受刑者にも話を聞きました。
2日間にわたってお伝えする特集、26日は、拘禁刑導入を控える刑務所の今、そしてこれからの動きについてお伝えします。
■「刑務所とは無縁の人生にしたい」受刑者の思い
秋田刑務所が秋田市内の今の場所に移転したのは、120年あまり前の1897年。
今の建物が全て完成したのは、ちょうど20年前の2005年です。
その年の12月には、過去最も多い731人の受刑者を収容したことがあります。
建物の中にある工場の一つ、「第6工場」。
職員や受刑者が「6工(ロッコウ)」と呼ぶこの場所では、一部の受刑者が、ボロボロになったある品々を丁寧に直す作業を行っています。
新品の姿に近づけるための修復作業が行われているのは、児童向けの絵本です。
受刑者が直している絵本、実は、秋田市内の小学校で使われていたものです。
「2000冊もの本を直していただいて、ありがとう」
「ピカピカの本、大切に使います」
絵本の修復作業は、児童たちのためだけではなく、受刑者たちが、労働を通じて地域貢献の重要性を学び、元の社会に戻ることを後押しするためのものでもあります。
刑務所には、2度と戻らない。
第6工場で作業している受刑者の一人も、その思いを持っています。
受刑者(40代)
「自分は、刑務所とは無縁の人生にしたいなと思っていて、とにかくやっぱりずっと社会にいられるような生活を送りたいなって考えています」
この受刑者が服役するのは、今回が最初ではありません。
今度こそ社会に戻れるか、不安もあると打ち明けます。
受刑者(40代)
「今までの人生を振り返ってみても、本気で立ち直りたいとか、こういう生活は終わりにしたいって思っても、何度も何度も刑務所に戻ってきてしまう」
記者
「また来てしまうんじゃないかと」
受刑者
「そうですね。本気で思っていても、また舞い戻ってきてしまう自分がいたので、また同じことになってしまうんじゃないかなという不安はあります」
受刑者が、出所したあと、再び罪を犯さないように。
そして、元の社会にスムーズに復帰できるようにするため、国は、今年6月から、刑罰の仕組みを大きく変えることにしました。
それが「拘禁刑」の導入です。
「懲役」「禁錮」といった刑罰が、「拘禁」の名称に一本化されます。