迷走台風で長期化した雨、各地冠水と鉄道は大幅な乱れ…岐阜県大垣市の“浸水なし想定区域”を襲った「内水氾濫」とは?
台風10号から変わった熱帯低気圧は消滅しましたが、“迷走”を続けたことで、各地で予期せぬ被害が相次ぎました。なかでも、最も浸水被害が深刻だった岐阜県大垣市では、ハザードマップの想定しない区域でも冠水が発生。「内水氾濫」と呼ばれるこの現象の特徴とは。
各地で大きな爪痕を残していった台風10号。その影響は、私たちの想像をはるかに超える長期間に及びました。先月27日頃に、東海地方に最接近するはずだったノロノロと九州方面に進路を変更。この地方からは離れていった思った矢先、午前3時に愛知県蒲郡市で土砂崩れが発生、家族5人が生き埋め状態に。
自衛隊も出動し、懸命の救出活動が行われましたが、3人が亡くなりました。土砂崩れが発生した場所は、自治体のハザードマップにある土砂災害警戒区域の範囲外。ひとたび大雨がふれば、“絶対に安全な場所”はないと実感する出来事となりました。
台風10号のスピードは遅く、九州地方で停滞。しかし、流れ込んだ湿った空気がこの地方を直撃しました。
先月29日午前には、三重県・松阪市で市内を流れる百々川が氾濫し、激しい雨も重なり道路は冠水。冠水した道路に突っ込んだ影響で、エンストしてしまった車もありました。
翌日30日、三重県四日市市では、マンホールから水が噴き出し10メートルほどの水柱に。
さらに31日10時半頃は岐阜県の大垣市や養老町で、朝から断続的に雨が降り続き、大垣市の北にある池田町で杭瀬川が氾濫。浸水は広範囲にわたり、この大雨の影響で、大垣市赤坂東地区には、一時「緊急安全確保」が発表されました。
杭瀬川の氾濫から2日経った今日、浸水被害のあった池田町では、片付け作業が続いていました。岐阜県では、住宅の床上や床下浸水などの被害が、あわせて100棟確認されています。
交通網にも大きな影響を及ぼした台風10号。運休や運転取りやめが相次いだ東海道新幹線では、4日ぶりに、今日の朝通常ダイヤでの運行が再開しました。
今回、最も浸水被害が深刻だった大垣市では、ハザードマップの想定しない区域でも冠水が発生。大垣市によると、この冠水は「内水氾濫」というものになるといいます。
「内水氾濫」とは、小さな河川や、道の側溝などの排水機能が追いつかず氾濫し、下水道やマンホールから水が溢れ出す現象。大垣市のハザードマップは、大きな河川の氾濫を想定しており、「内水氾濫」の想定区域を記していません。
大垣市の担当者によると、「内水氾濫」は道の側溝のすべてで発生する可能性があることから、ハザードマップに記すことは不可能だといいます。
さらに内水氾濫には、「標高は関係ない」という特徴が。実際、今回氾濫したエリアは、標高7メートル以上の場所でした。近くの側溝から氾濫するとなると、同じような高さの所から水があふれることになるので、いかに標高が高くても、関係ないといいます。
東海エリアに大きな被害を与えた台風10号。大垣市内ではハザードマップにはない至る所で冠水が確認されており、床上床下浸水なども確認されているといいます。