【犬山7歳女児死亡】母親と内縁夫は事情聴取で暴行説明せず　2回保護した児相「意図的な虐待行為という断定は難しかった」

母親と内縁夫が逮捕　病院からの通報で発覚

今年5月、倉田容疑者は犬山市の自宅で奈桜ちゃんの腹部に暴行を加え、死亡させた疑いがもたれています。

3人で自宅にいるときに暴行を加えられたとみられる奈桜ちゃん。吐いたり腹痛などを訴えていましたが、島崎容疑者は奈桜ちゃんをつれて自分の実家に帰省。その後、心肺停止の状態で病院に搬送され、死亡が確認されました。

死因は、十二指腸裂傷による敗血症性ショック。

事件発覚のきっかけは、病院からの「7歳の女の子が搬送されたが亡くなりました。体に複数のあざがある」という通報でした。警察が捜査に乗り出し、発覚から約２か月がたった18日、2人の逮捕に至ったのです。

日常的に繰り返された暴行　母親も認識していたか？

奈桜ちゃんが亡くなってから1か月以上がたった7月2日。事件現場となった自宅では、普段通りにみえる2人の姿がありました。倉田容疑者が車に乗りこみシートベルトを締めると、島崎容疑者に手を振り、家を後に。島崎容疑者もその姿を見送ります。それから2週間あまりで事態は急展開をむかえました。

奈桜ちゃんが死亡してから2か月。なぜこのタイミングでの逮捕となったのでしょうか。

病院からの通報を受け、奈桜ちゃんの死亡を把握した警察は、倉田容疑者と島崎容疑者に事情を聴きますが、その際、2人は暴行については説明しなかったといいます。

しかし、その後の司法解剖などから、奈桜ちゃんの致命傷は故意に暴行されない限りできないものだと判明したため、警察は捜査を続け、18日、逮捕に至ったということです。

警察は、2人の認否を明らかにしていませんが、奈桜ちゃんの全身には複数のあざがあったということで、倉田容疑者が奈桜ちゃんに対して日常的に虐待を繰り返し、島崎容疑者も認識していたとみられています。

死因となった「敗血症性ショック」　破れた腸から菌が全身に

奈桜ちゃんの死因となった「敗血症性ショック」とはどういうものなのでしょうか。

中京テレビ「キャッチ！」のコメンテーターも務める名大病院の柴田玲先生によると、敗血症性ショックとは、何らかの菌に感染し、全身に炎症が及んでショックを起こした状態で、命の危険が非常に高いということです。

警察の発表では、奈桜ちゃんが敗血症性ショックになったのは、倉田容疑者の暴行により十二指腸が破れ、そこから菌が入ったことが原因としていますが、柴田先生は、想像を絶するような非常に強い衝撃を与えない限り、十二指腸が破れるということは起きないと指摘します。

奈桜ちゃんは腸が破れるほどの激しい暴力を受けた後も、すぐに病院につれていってもらえず、痛みに耐え続けながら亡くなったのかもしれません。

2度の虐待通報・一時保護も幼い命救えず…

事件前、2回にわたり虐待の疑いがあるとして通報されていたこともわかっています。

1回目は一昨年11月、お風呂に溺れたとして心肺停止の状態で搬送された病院からの通報。2回目は去年4月、当時通っていた保育園からの通報でした。2回とも児童相談所で一時保護されています。

奈桜ちゃんを一時保護した児童相談所は、18日午後3時半に会見を開きました。

一宮児童相談センター　杉本一正センター長：
「児童相談センターが関わっていながらお子さんが亡くなるという結果を、大変重く受け止めています。調査の結果として、故意による母の虐待的な行為とはなかなか言い切れない、意図的な虐待行為であるという断定は難しい状況だった」

さらに、児童相談所が行った面接の内容について、母に対しては 「今後は児童と知人男性の距離をおくように」 と指導し、内縁の夫は 「今後児童には会わないということでいい」と話していたと説明。奈桜ちゃんと面接をした際には、暴力を否定するとともに「家に帰りたい」と話していたと明かしました。

2度にわたり一時保護しながらも、救えなかった幼い命。なにか法的な整備はできないものなのでしょうか…。