「その灯を消さないように…」 “出張輪島朝市”が愛知県で開催 2日間で来客2万人の大盛況
東海地方では初開催の「出張輪島朝市」 地元の中学生たちが助っ人に
5月25日、豊川市のイオンモールで石川県・奥能登の名物「出張輪島朝市」が開催され、大勢のお客さんが集まりました。
1000年以上の歴史を持つ輪島の朝市は、元日の地震で、ほぼ全域が焼け落ちてしまいました。そこで、輪島市朝市組合は復興に向けて支援を呼びかけるとともに、全国各地で「出張輪島朝市」を開催しているのです。
愛知県での開催を迎え、輪島市朝市組合の組合長・冨水長毅さんは「このような形で企画イベントを作っていただいて、私たち感謝感謝でありがたく思っています」と笑顔。出店者も「お客様と対面販売できるというのが、私たちにとってかけがえのない大切なことなので、それをさせていただいて感謝で一杯です」と出店の喜びを噛みしめている様子でした。
東海地方では初めての開催となる「出張輪島朝市」。今回は、海産物や輪島塗りの漆器のアクセサリーの店など、10店舗ほどが出店しましたが、そこへ助っ人として来ていたのは、豊橋市にある本郷中学校の生徒たち。1年生から3年生までの30名が売り子のお手伝いをしていました。
実は、この中学生たちには、売り子のお手伝い以外にもう一つの目的がありました。それは、復興への思いを込めた木製コースターを販売すること。中学生が輪島の名産やメッセージを入れたデザインを考えたのです。
本郷中学校の生徒:
「これを買ってもらって、笑顔や前向きな気持ちになってほしいという気持ちで作りました」
今回、豊川市で「出張輪島朝市」を開催するきっかけを作ったのは、豊橋市で木工会社を営む松井誠さんです。松井さんは、3月に金沢市で行われた「出張輪島朝市」に木の屋台を貸し出していたのですが、その時の縁で愛知県での開催が実現。今回は、中学生と共に屋台を出していました。
老津木工 松井誠さん:
「中学生のほうから、何か自分たちのできることをしたいと要望があって、今回の木製コースター作りをやることになりました」
売り上げは、輪島市朝市組合へ全額寄付されるということです。
能登に帰りたいと願う92歳のお客さんも 朝市復活に向けて歩み続ける輪島の人々
多くの人で賑わう中、こんなお客さんもいました。
この日、家族で「輪島出張朝市」を訪れていた石田静子さん、92歳。静子さんの家は、石川県能登町にあります。米寿のお祝いには能登町の実家に家族が集まってお祝いしましたが、家は地震で半壊。今は娘さんの住む豊川市に避難していますが、未だ修復の目処は立っていないといいます。
「輪島出張朝市」で静子さんは輪島の“いかの塩辛”を購入し、「やっぱり輪島と聞いただけでうれしい。(能登に)毎日帰りたい(と思っている)。ボランティアでよくしてもらってありがたい」と嬉しそうに微笑んでいました。
豊川市で開催された「輪島出張朝市」は2日間で約2万3000人が訪れ、大盛況となりました。
輪島市朝市組合 冨水長毅組合長:
「(地震から)5ヶ月がたとうとしていますが、朝市通りはがれきの撤去もスタートしていません。復活するという前提で、その灯を消さないように今後もがんばっていきたい」
元日の能登半島地震で大きな被害を受けた輪島朝市。復興までにはまだ時間がかかりそうですが、輪島の人たちは朝市復活に向けて一歩ずつ前に進み続けているようです。