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【SNS時代の選挙】名古屋市長選で圧勝した広沢新市長を独自取材 SNSを追い風にした候補と、“デマ”の火消しに追われた候補 選挙のあり方に課題残る

2024年11月27日 17:04
【SNS時代の選挙】名古屋市長選で圧勝した広沢新市長を独自取材 SNSを追い風にした候補と、“デマ”の火消しに追われた候補 選挙のあり方に課題残る
名古屋市長選で圧勝した広沢新市長
11月24日に行われた名古屋市長選は、与野党相乗りの対抗馬に大差をつけ、15年続く河村市政の継承を公約として掲げた広沢一郎氏が当選しました。今回の選挙でも注目されたのがSNSの影響です。

河村市政「継承」で圧勝した広沢新市長

河村前市長の政策継続を訴え、前参議院議員の大塚耕平氏に約13万票の差をつけて初当選した広沢一郎新市長。

当選確実の一報が届いてから約9時間後の午前6時、広沢新市長は、河村前市長とともに中京テレビの番組「あさドレ」に生出演しました。自らの公約について、落ち着いた表情で話していましたが、中京テレビに到着した直後の控え室では「(河村さんのことを)つい“市長”と呼んでしまいそう」と漏らし、“市長”の実感がなかなか沸いていない様子。

それを横で聞いていた河村前市長は、「大名古屋の市長ですから、固くはなるけど(広沢さんは)品がいいから。やけくそでやってちょ」と広沢新市長の背中を押しました。

午前10時。名古屋市役所で当選証書を受け取った広沢新市長は、記者の質問に時折笑顔も見せながら対応。

広沢一郎新市長:
「いよいよここからがスタートだな。はやく仕事をしたい気持ちでいっぱい。風通しの良い市政を目指してまいりますので、市の職員、市民の皆さまも、何なりと私にお声がけをいただければと思います」

約400人の職員が出迎えた初登庁セレモニーでは、花束を受け取り満面の笑顔。市長の椅子に座った際も、穏やかな表情で撮影に応じていました。

午前11時ごろに行われた職員への訓示では、一転、引き締まった表情で「チームとして よりよい名古屋市をつくっていきたい」と語った広沢新市長。

今後は、河村市政が対立してきた愛知県の大村知事や市議会と向き合い、公約を実現できるかが注目されます。

SNSで明暗わかれた2人の候補

投開票前日の夜、名古屋・栄では名古屋の新市長となった広沢氏が、“最後の訴え”を行っていました。街頭からは大きな“一郎コール”が沸き上がります。

公職選挙法で街頭演説が許されている午後8時ギリギリまで支持を呼びかけ、これで14日間の選挙戦を締めくくったかと思いきや、午後9時半ごろ、広沢陣営で何やら動きが。カメラやマイクのセッティングをしていました。

演説の後に行っていたのは生配信。午後8時以降は、法律で禁止されていないSNS上で“最後のお願い”をする徹底ぶり。選挙戦をともに戦った河村前市長も一緒に、視聴者からの質問に答えていきます。

広沢氏は、ここ数年でSNSに選挙を動かす流れがでてきたといいます。

広沢一郎新市長:
「普通はやれやれと家に帰って寝るところを(生配信するので)休憩時間が減りましたね。発信の仕方が今までだと基本的に街頭だけど、街頭とネットと同じぐらいやらないと勝てない」

SNSの影響力の大きさを示したのが、11月17日に行われた兵庫県知事選です。パワハラ疑惑などが発端となり失職となるも、再び返り咲いた兵庫県の斎藤知事。勝利の要因としてあげたのがSNSでした。「今回はSNSを通じていろんな広がり、SNSのプラスの面を感じた」と話し、演説の様子などをこまめに投稿した結果、Xのフォロワーは3倍になったということです。

その一方で、選挙に敗れた稲村和美氏は、SNSに苦しめられることになりました。SNS上で稲村氏が「外国人参政権を与えようとしている」という誤った情報が拡散されたのです。選挙後の会見では「斎藤候補と争ったというより、何と向かい合っているのかなと違和感があった」と首をかしげました。

それと同じような事態は名古屋市長選でも起こっていました。広沢氏に、約13万票の差で敗れた大塚耕平氏は、選挙戦も終盤となる11月20日、ポスターを新しいデザインに変えていました。

大塚耕平氏:
「敬老パス負担金ゼロにする、拡充すると申し上げてますが、いろんなデマが飛んでますので、それに対するカウンターの意味もあります」

Xを見ると、大塚氏は当初から敬老パスの拡充を訴えていたにもかかわらず、「敬老パスの値上げ」と真逆の投稿が。さらに、「移民1000万人受け入れ」「市民税の増税」など、大塚氏が訴える政策とは異なる投稿も見られました。

その内容を否定するために動画を配信するなど、“デマ”の火消しに追われていたのです。

大塚耕平氏:
「(対応するのは)簡単じゃない。レスポンスすると、それに対していろいろなこともあるので。民主主義の危機といってもいい」

そして11月24日。落選確実となった後、完敗を認めながらも、“デマ”の影響が少なからずあったと話しました。

大塚耕平氏:
「『敬老パスなくすんじゃなかったの? 逆のことを言っている』という問いかけを何十回も受けましたので、それだけデマが浸透していた。選挙妨害に近い行為なので、今後どう対応していくか、政治全体の課題だと思います」

政策を訴える手段として有効な一方で、デマが拡散すると選挙活動が妨害されるSNS。今後の選挙のあり方に課題を残しています。

最終更新日:2024年11月27日 17:04
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