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【あつたnagAya】年間700万人の熱田神宮参拝客を呼び込めるか? 「亀屋芳広」「妙香園」など熱田創業の有名店が結集 味わうだけじゃない記憶に残る体験も “にぎわい”創出に地元も期待

2024年9月11日 12:11
【あつたnagAya】年間700万人の熱田神宮参拝客を呼び込めるか? 「亀屋芳広」「妙香園」など熱田創業の有名店が結集 味わうだけじゃない記憶に残る体験も “にぎわい”創出に地元も期待
9月6日にオープンした「あつたnagAya」

名鉄・神宮前駅の目の前に、新たな観光スポット「あつたnagAya(ながや)」が誕生しました!  創業者が熱田区内で開業したという手羽先の有名店「風来坊」が、創業当時のメニュー「もも焼き」を復刻するなど、地元創業の店が結集しています。ここでしか味わえないグルメに、思わず夢中になれる体験も続々! 歴史の街「熱田」が、新しい観光名所に生まれ変わる壮大なプロジェクトが動き出す!?

老舗和菓子店の甘味処「あずき茶屋」 和菓子づくり体験は外国人観光客に大人気!

9月6日、熱田神宮のすぐ近くに誕生した「あつたnagAya」。縦横36センチもある大判たこ焼きせんべいの「名古屋焼き醤油専門 さく蛸」や、グルテンフリーの米粉でつくったバームクーヘンの有名店「ココトモファーム」、ソフトクリームのカスタマイズができる「CROCE&Co.」など13店舗がオープンし、食べ歩きも楽しめるグルメも盛りだくさんですが、ここならではの体験も人気を集めているようです。

甘味処「あずき茶屋」で外国人観光客が挑戦していたのは、和菓子づくり「練り切り」です。

熱田神宮を訪れた外国人にも記憶に残る体験をしてほしいという思いで始めた和菓子づくり体験。この日も台湾とチェコから来た外国人観光客が和菓子づくりに挑戦していました。すでにドイツから団体予約も入っているそうです。

「あずき茶屋」をつくったのは、75年前に熱田で創業した「亀屋芳広」です。年間50万個を売り上げる「不老柿」が知られるところ。現在は愛知県に17店舗を展開する老舗和菓子店ですが、リアカーでの移動販売から始まり、伝馬町東海道の前に店を開いたといいます。

外国人や若者にも和菓子の良さ、中でもあんこのおいしさを伝えたいと、亀屋芳広では“あんこの番人”と呼ばれる職人がつきっきりで炊き上げ、素材も十勝産の中でも良質なものだけを使うこだわりよう。花井社長も「どこにも負けないあんこをつくれる」と自信を覗かせます。

あんこを使った「どらやき」も定番ですが、若者にもおいしいあんこを食べてもらいたいと「あつたnagAya」では、お団子にしました。

亀屋芳広 花井芳太朗社長:
「外国人はストーリーが大好きですし、クラフトマンシップをリスペクトするので、体験すると“買う”“食べる”きっかけになると思います」

創業70年の米穀店が運営する「和~NAGOMI~」でおにぎりの食べ比べ

日本の伝統食の良さをこの地から発信したい。そんな思いを持ったお店は他にもありました。熱田で70年にわたり親しまれてきた「三本松米穀店」です。

ここで扱っているのは、スーパーなどで出回らないブランド米。甘みやうまみの独自基準を満たしたものしか出荷されない土佐の「天空の郷」など、希少なお米ばかりが手に入る「三本松米穀店」は、まさにお米のセレクトショップ。

三本松米穀店 加藤久喜さん:
「全国で毎年300品種ぐらいできる。その中で40~50種類を厳選して仕入れをして、お客様にご案内しています」

そんな「三本松米穀店」が「あつたnagAya」にオープンしたのは、厳選されたお米でつくるおにぎりの専門店「和~NAGOMI~」です。精米し、傷んだものや粒が小さいものは瞬時に見抜いて手作業で取り除き、選び抜いたお米を土鍋で炊いて、おにぎりに。

今後は、2種類のお米を食べ比べられるサービスも検討中。例えば、新潟県岩船産のコシヒカリは、普通のコシヒカリよりもちもちした食感。岩手の「金色の風」は、味と弾力のバランスがとれたお米。同じように見える2つのおにぎりでも、食べ比べてみると味も食感も全然違うことがわかります。

産地が違うと味も違うということを体感し、お米の深い世界を知ってもらうのが狙いです。

焙煎機から漂う香ばしいお茶の香り 「妙香園」が抹茶のワークショップを開催

「あつたnagAya」の敷地内を歩いていると、どこからともなくお茶のいい香りが漂ってきました。香りのもとを探していると、名古屋に来たら一度は見かけるであろう、店先でまわる焙煎機を発見。

ここは、創業約100年のお茶の老舗「妙香園」。名古屋駅と栄の地下街にそれぞれ店舗があり、あたりに香ばしい香りを漂わせるお茶屋さんとして知られていますが、本店は熱田にあります。

店頭でお茶を炒って50年以上。今では多くの人にとって思い出の場所にもなっているといいます。

妙香園 田中良知社長:
「小さい頃、おばあちゃんに連れられてきたとか、うちに帰るとこのお茶が置いてあったと言ってもらえる」

そんな妙香園が「あつたnagAya」出店にあたって力を入れたのは、自社の石臼でひき、1時間でわずか40グラムしかできない貴重な「抹茶」。そのまま抹茶として味わってもよし、ラテで気軽に楽しんでもよし、お茶屋ならではの深みのある味わいが堪能できます。

さらに、この抹茶の点て方を学ぶワークショップも実施。狙いは、駅から降りて30秒で受けられる「おもてなし」です。

32年前に頓挫した再開発計画… 新観光スポット誕生で“にぎわい”創出に地元も期待

今回取材した3人の店主は全員、熱田生まれの熱田育ち。「あつたnagAya」が周辺の観光地をめぐる拠点になってほしいと考えています。

亀屋芳広 花井芳太朗社長:
「もしかしたら最大のチャンスがきているかもしれないと思っている」

妙香園 田中良知社長:
「熱田神宮だけで年間730万人の参拝者がいる。この人が街の魅力を深掘りして、歩いてまわっていただけるような、そんな空間に熱田がなれば」

三種の神器「草なぎの剣」がまつられる熱田神宮。インバウンド需要もさることながら、年間約700万人以上の参拝者が訪れます。これは名古屋城の入場者数の4.6倍。

この参拝者を街に呼び込み活性化につなげるチャンスなのですが、神宮周辺を歩いてみると、商店街の老朽化がすすみ、人はまばら…。熱田区の住民に地元の観光地を聞いてみても「なかなかないと思います。金山に行くしかない」という答えが。

同じく年間約700万人が訪れるという三重県の伊勢神宮周辺は、相変わらず賑わっています。

熱田区には「七里の渡し」などの観光スポットはありますが、熱田神宮の700万人の参拝客を周辺の活性につなげられていないことが長年の課題でした。

実は、約30年前に再開発の計画があったのですが、一部の住民から反対の声があがり頓挫。市が再開発目的で購入した7000平方メートルもの土地は、立ち入り禁止の"もったいない場所"になってしまいました。これが32年間も塩漬け状態になっているというのです。

空から見ると区役所の横、駅そばの好立地がぽっかり空いたままになっているのがよくわかります。

現在では住民からも「ずっとあのままなのでもったいないと思う」「せっかく熱田神宮があるんだから人が集まる物ができるといい」という声が上がっています。

「あつたnagAya」が軌道に乗れば、未利用地を含め区役所までの間がすべてにぎわいの場所へと変わる可能性も。名古屋市の河村たかし市長も「熱田神宮があって草なぎの剣という絶対的な宝物がある。草なぎ横丁とかね。ものすげえ面白いところにせないかんわ」と期待を寄せています。

地元で街作りを進める人たちが作成した理想図には、ビルにいくつもの店舗が入り、横にはバスの停車場もあります。

亀屋芳広 花井芳太朗社長:
「熱田全体として、観光とかもてなしの雰囲気の機運が高まっていることはまちがいない。その第一歩となることを信じています」

「あつたnagAya」の誕生をきっかけに、再びにぎわいを取り戻したいというのが地元の願いのようです。熱田は新たな観光スポットに生まれ変われるのでしょうか。

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