高校野球も「スポ根」から「データ野球」の時代へ 分析で貢献する高校生アナリストも誕生
大谷翔平選手も使う最新機器 全国150の高校野球部で活用
ロサンゼルス・ドジャース 大谷翔平選手:
「僕自身がもっと早い段階でこういうものがあれば、少年野球の時代からこういうものを活用したら、もっともっとうまくなれたんじゃないかなと思うので、今のユースの世代の子たちが使えること自体うらやましい」
大谷翔平選手がこのように話すのは、ピッチャーの球速や打球の速度を測る機器「ラプソード」。今では、全国の高校野球部150校が活用しているといいます。
愛工大名電高校 野球部 倉野光生監督:
「データを収集すると、今まで僕たちが全く知らなかった数値が『えっ? こんなふうに出るんだ』と。昭和の時代は、結果が出るまでやり続ける体力勝負のスポーツだったが、(今は)どんなプロセスを踏んでいくか答えが出て、明確にわかってくる」
愛工大名電高校は、「ラプソード」の他にもバットのグリップエンドに装着できるセンサーを導入。スイングの角度を測定し、もっともボールが飛ぶ角度を分析しています。
野球部員たちから頼られる高校生アナリスト「自分たちと一緒でひとつのチーム」
メジャーリーグでは当たり前のデータ野球が、高校野球にも浸透しているようですが、愛工大名電高校には、このデータを扱うアナリストもいるのです。
そのアナリストとは三年生の早川孝介さん。ブルペンにタブレットを置き、真剣な表情で画面を見つめています。練習試合では一球ごとチェックして細かくデータをとり、試合後は分析したものを一覧にするそうです。
野球部員たちは早川さんのアナリストとしての活動を、どのように受け止めているのでしょうか。
愛工大名電高校 山口泰知選手:
「自分たちが管理できない、扱えないパソコンを使って、精密にわかりやすくデータを 提供してくれているので参考にしています。寮生活は一緒にしていないけど、早川も野球部の一員として、自分たちと一緒でひとつのチーム」
小学校のころはプロ野球選手を目指して野球をやっていた早川さん。今は裏方としてデータ面から選手をサポートしたいという思いが強いといいます。
きっかけは中学受験での挫折 「メジャーリーグの選手のそばで仕事ができたら」
早川さんが学校帰りに寄ったのはパソコン教室。小学5年生のころからゲームを作るプログラミングの勉強をしているそうです。パソコン教室の先生から見た早川さんは、熱心で真面目で自発的な生徒。野球のアナリストとして先駆者になってほしいと期待を寄せます。
愛工大名電高校 早川孝介さん:
「アナリストの活動で役に立つような、データ分析などのアプリを作れたらいいなと思います」
早川さんがパソコンにのめり込んだのは、中学受験で不合格という挫折を味わったことがきっかけでした。両親は息子が落ち込む姿を見て、努力したご褒美にと早川さん専用のパソコンを買ってあげることにしたそうです。プレゼントした時には、早川さんはあまりの嬉しさで涙を流して喜んだといいます。
その後、公立中学校から愛工大名電高校に進学した早川さん。アナリストとして充実した日々を送っている様子を見て、母親の里美さんは「パソコンと野球が大好きで、それが一緒になって孝介の人生が変わった」と話します。
愛工大名電高校 早川孝介さん:
「大谷翔平選手のようなメジャーリーグの選手のそばでこういう仕事ができたら。それは夢のまた夢みたいな感じですけど」
早川さんのアナリストとしての道のりは、まだまだ始まったばかりです。