×

【密着】「とにかく苦しい」新型コロナの後遺症に苦しむ患者たち 福岡での初確認から5年 専門外来は今

2025年3月9日 7:00
【密着】「とにかく苦しい」新型コロナの後遺症に苦しむ患者たち 福岡での初確認から5年 専門外来は今

新型コロナウイルスの感染者が福岡県内で初めて確認されてから、5年余りがたちました。県内の感染者数は減少していますが、いまだ多くの人が後遺症に悩まされています。

■みらいクリニック・今井一彰 院長
「朝すっきり目覚める?」
■患者
「いや、コロナになってからそんなに。」

福岡市博多区にあるみらいクリニックは、コロナ後遺症の専門外来を設けています。この日、兵庫県から20代の男性が訪れました。

■今井院長
「まず左の鼻から、少し刺激があります。」

おととし7月に感染して以降、首の痛みや、けん怠感に悩まされていました。地元の医療機関を受診しても回復せず、このクリニックにたどり着きました。

■患者
「通勤だけでも結構しんどかったので、このままではよくないなと思ったので。もう今、仕事を辞めているのですが。」

■スタッフ
「いいですよ、その調子です。」

福岡県内に住む60代の女性は、数か月間の通院で改善の兆しが見えてきました。おととし6月に感染したあと、けん怠感のほか、消化器や耳、鼻、のどなど、全身に次々と不調が生じたといいます。

■患者
「最初の1年は、とにかく苦しい。起き上がれない、家事ができないような。まさか私が後遺症になるなんて。」

後遺症の症状は様々です。味覚・嗅覚の障害や脱毛、けん怠感などに加え、頭痛や息苦しさ、吐き気を催すこともあります。

国は症状別に対応をまとめた手引きを公表しましたが、発生のメカニズムや明確な治療法は記されていません。

コロナ後遺症の専門外来を始めて4年。訪れた患者は1031人を数えます。

■今井院長
「こんなに長引くとは予想だにしていませんでした。苦しんでいる人にとっては現在進行形なんですよね。」

■看護師
「お口を開けてください。」
■今井院長
「よし、お口を開けてください。」

今井院長が診察した多くの患者に見られたのは、のどの奥にある上咽頭(いんとう)の炎症です。これを抑えるため行っているのが、上咽頭擦過療法です。炎症が起きた部分に薬をこすりつける治療法です。

■今井院長
「お鼻からこそぐ。お口から入れて、病変部を治療するという感じになりますね。」

このクリニックでは、上咽頭の治療などを行った結果、3か月以内でおよそ8割の患者に後遺症の改善効果がみられたといいます。一方で、炎症が治まっても後遺症自体が回復しないという患者もいて、治療の難しさに直面しています。

■今井院長
「こんにちは。調子どう?」
■患者
「うーん、いい時もあれば、悪い時もある。」

この日訪れたのは、福岡市内に住む高校1年生の少年(16)です。コロナに感染したのは去年5月で、入学したばかりの時でした。

■患者
「友達もちょっとずつできようとしてきた頃だったので、もう、最悪です。」

強いめまいなどに苦しんだ日々。登校できたのは、入学からわずか1か月ほどでした。

■今井院長
「ごめんよ、この横に(炎症が)残っちゃうんだ。当たった、当たった。そこや、そこ。OK。頑張った、終わろう。」

数か月間におよぶ治療を経て症状は少しずつ改善し、ことしに入り、週に1回程度、学校に行けるようになりました。

■患者
「みんなと授業を受けて、昼休みにみんなでごはんを食べて、それができれば一番いいです。自分みたいに、つらい思いをする人が増えてほしくないという思いが一番です。」

■今井院長
「治っていない人たちはいっぱいいます。一緒に治療していく、伴走していくというところかなと思う。そこには寄り添っていきたいなと思いますよね。ずっと。」

感染の波が落ち着いても、5類感染症へと移行しても、苦しんでいる人たちがいる。コロナ後遺症の実情です。

※FBS福岡放送めんたいワイド2025年3月7日午後5時すぎ放送

最終更新日:2025年3月9日 7:00