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【検証】「プールサイドで蹴り飛ばされる」経験者が語る消防学校の過酷な訓練 溺死は防げなかったのか

2025年3月29日 8:02
【検証】「プールサイドで蹴り飛ばされる」経験者が語る消防学校の過酷な訓練 溺死は防げなかったのか

去年7月、福岡市消防学校の水難救助訓練中、入校中だった男性職員が溺死した事故についてお伝えします。同じような重大事故は全国で相次いでいて、再発防止策が提言されていました。

しかし、福岡市消防局ではこれまでの訓練で事故が起きていなかったことを過信し、不十分な対策にとどまっていました。

■福岡市消防学校の訓練経験者
「立ち泳ぎの訓練をしている時は、きつくなって縁に行って休むは絶対に許されないから。」
「やっぱりかという感覚です。逆に今まで起こらなかったのが不思議だなと思うくらいきつかった。」

取材に応じたのは、福岡市消防学校の水難救助訓練を受けたことがある経験者たちです。それぞれ言葉を選びながらも、怒りをにじませました。

■白野寛太記者
「現場はこちらの市民プールです。当時は、消防学校の生徒が訓練を行っていました。」

去年7月、福岡市西区の「総合西市民プール」で、福岡市消防学校の水難救助訓練が行われました。訓練には消防学校に入校中の52人が参加していましたが、そのうち26歳の男性職員が溺れ、死亡しました。男性職員はヘリコプターの整備士を志していたといいます。

福岡市消防局に採用されたすべての職員は、現場に配属される前に半年ほど消防学校に入ります。人命救助のプロが見守る訓練中に、いったい何があったのでしょうか。

男性職員が参加していたのは、立ち泳ぎの訓練です。現場となったプールの深さは3.3メートルで、足の届かないプールでした。経験者たちはその訓練の厳しさを語りました。

■福岡市消防学校の訓練経験者
「とりあえず、いいって言われるまでしろみたいな感じ。水の中で呼吸もできない、足もつかない、うまく体を動かせない状態でもやり切らないといけない訓練。」
「溺れそうな時は助けてくれないのですが、溺れたら助ける的な感じです。上がろうとするとプールサイドの溝のところで蹴り飛ばされるとか。」

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水中に戻るよう強く促す