【決意】小学生3人が死亡した水難事故から1年 水辺の悲劇を繰り返さない 「川の危険」と取り組み 福岡
福岡県宮若市の川で小学生の女の子3人が溺れ、死亡した事故から21日で1年です。この事故を含め、2023年、県内では20人が水難事故で命を落としました。水辺での悲劇を繰り返さないように。各地で取り組みが進んでいます。
■川﨑直人記者
「現場となった川のそばには、亡くなった子どもたちのために花が供えられていて、千羽鶴もかけられています。」
あの日からまもなく1年。今も花束や多くの飲みものが置かれています。
2023年7月21日、痛ましい事故は起きました。福岡県宮若市の犬鳴川で川遊びをしていた小学6年の女子児童3人が溺れ、死亡したのです。夏休み初日のことでした。
その宮若市にある小学校では19日、1学期の終業式が行われました。
■光陵小学校・水摩泰三校長
「3人の小学生の尊い命を奪ったのは川です。この川のことを正しく知って、正しく怖がること。それが自分の命を守ったり、友達の命を守ったりすることにつながります。」
同じ市内で起きた悲劇を繰り返してはならないという強い思いを伝えました。
教室に戻った子どもたちに配られたのは1枚のリーフレットです。大きく、「川の危険から身を守ろう」と書かれています。
川の危険な場所や注意点を具体的に知ってもらおうと、事故を受けて発足した宮若市の協議会が作り、市内すべての小中学生に配りました。
■6年生
「ここが危ないというのをちゃんと理解して、そこでは遊ばないように注意したいと思いました。」
川の周辺にも対策が講じられていました。
■遠賀川河川事務所職員
「注意喚起看板とともに、エリア看板を設置しました。」
水難への注意を促す看板や、立ち入り禁止を知らせる看板などあわせて24基を設置しました。誰にでも伝わるよう、多くの看板にピクトグラムが使われています。
おだやかに見えても思わぬ危険が潜む、川。専門家立ち会いのもと、犬鳴川とは別の川で、危険性を検証した映像です。一見、穏やかに見えますが、歩いて進んでいくと。突然、足を取られます。水中を見てみると、急に川底が深くなり足が届かなくなったのです。
気づきにくい川底の深み。福岡県警によりますと、2023年、県内では水難事故で20人が死亡しました。
18日も、中学校の遠泳大会のボランティアをしていた男性が海で溺れて命を落としました。2024年はすでに9人が亡くなっています。
水辺の事故を食い止めるため、県内の学校も実践的な教育に力を入れ始めています。
■川﨑記者
「こちらの中学校では、服を着た状態で水の中でどのように対応すればよいか、その術(すべ)を学んでいます。」
福岡県宗像市の自由ヶ丘中学校ではことし初めて、専門家による講習を行いました。
■指導員
「空気いっぱい吸って、ゆっくり肩までつかって背浮き、はい、浮いて待て。」
「あご上げろ。」
「ペットボトル、へそにつけろ。」
福岡着衣泳会によりますと、川や海で助けを待つ際には、体力を消耗しないよう体をまっすぐにし、肺に空気をためて浮いた状態を保つことが重要だといいます。
■2年生
「思ったより、浮こうとしても顔が沈んで、けっこう難しかったです。」
「溺れそうになったことがあって、 すごくパニックになったので、 こうやって何回か練習して、いざというときに備えたいと思いました。」
“備えを怠らない”。その上で、重要なこととは。
■福岡着衣泳会・田中大士会長
「絶対に子どもだけで水辺には行かない。そして1人では行かない。水辺に行くときは必ずライフジャケットをつける。これが大切なことだと思います。」
水の怖さを正しく知ってもらい、命を守ることにつなげたい。あらゆる場所で、取り組みが強化されています。