去年の大雨で浸水した小学校で卒業式 体育館には当時の水の深さの表示も「仲間とともに頑張る大切さを学んだ」福岡・久留米市
14日、福岡県内ほとんどの公立小学校で卒業式が行われました。去年7月の大雨で甚大な被害を受けた福岡県久留米市の小学校でも、子どもたちが門出を迎えました。
14日午前、久留米市の大橋小学校で卒業式が行われていました。
■阿部まみフィールドキャスター
「保護者や在校生に見守られ、子どもたちは堂々とした足取りで入場しています。」
卒業を迎えた6年生は12人です。壇上に上がった子どもたち一人一人に卒業証書が手渡されました。
大橋小学校は去年7月10日の大雨で甚大な浸水被害に見舞われました。校舎の1階部分が浸水して学校が使えなくなり、1学期の終業式も行えないまま夏休みが前倒しされました。
当時、体育館には、水につかってしまった机やコピー機などが運び込まれていました。その後、復旧は進み、被災地に残されていたがれきや土砂は取り除かれました。
久留米市によりますと、被災地の本格的な復旧はまだ時間がかかりますが、応急的な復旧については一定のめどがついたということです。
大橋小学校の体育館も去年11月から修復工事が始まり、2月19日にようやく使えるようになりました。
体育館には、記憶を風化させないようにと当時の浸水の深さが分かる「床上62センチ」という表示が貼られています。
巣立っていく子どもたちへ、野瀬浩一校長がはなむけの言葉を贈りました。
■大橋小学校・野瀬浩一校長
「小学校時代に皆さんが経験した、困難にぶち当たっても懸命に努力すること、必ず応援してくれる仲間がいることを忘れずに、苦しい時こそ笑顔で挑戦していってください。」
■ 卒業生
「大橋小学校、第145回卒業式!」
「3年生、新型コロナ感染症が流行し、5月から学校が始まりま した。」
「6年生、7月に大雨が降り、大橋町全体が大きな被害を受けました。それでも元のように過ごせるようになったのは、協力してくれたボランティアの方々のおかげです。」
「6年間、楽しいことも大変なこともありましたが、仲間とともに頑張る大切さを学んできました。」
コロナ禍に大雨災害、卒業生12人が6年間を振り返り、口にしたのは支えてくれた人たちへの感謝でした。
■卒業生
「(卒業式は)できないと思っていたから水害で。だけど、ちゃんときれいになってできるようになったからうれしいです。」
「体育館を修理してくれた人に、ありがとうと言いたいです。」
自宅が浸水被害に遭いながら、無事、我が子の晴れ姿を見届けた保護者もいます。
■保護者
「うちも3月からやっと家の改修に入れる感じで、家が別になると、ここの卒業式に来られないので、卒業式が終わってからということにしています。」
卒業生はおよそ1か月の春休みを過ごし、4月10日、中学校生活がスタートします。