「クジラ肉」商談会で消費拡大へ “最高峰”ナガスクジラで「先入観が消えた」福岡
サシが入った霜降りの肉。牛肉ではなく、クジラの王様といわれるナガスクジラの肉です。ナガスクジラが去年、商業捕鯨の対象に追加されたことを受けて、消費を拡大しようと5日、福岡市で商談会が開かれました。
福岡市中央区の長浜鮮魚市場の中にある飲食店で提供されていたのは、クジラを使った料理です。1947年の創業当初から、メニューにクジラを取り入れています。
メニューの一つ、北大西洋産のミンククジラを特製のタレで焼いた「鯨テキ定食」をいただきました。
■中村安里アナウンサー
「身が柔らかいです。脂身と赤身のバランスがすごくいいです。程よく脂は乗っていますが、サッパリしていておいしいです。」
ランチタイムでにぎわう店内では、クジラ肉を味わう人たちの姿が見られました。
■訪れた人
「お肉みたい!」
「初めてクジラの肉に挑戦しました。インドネシアでは食べたことはありません。」
臭みがなく栄養価の高いクジラは、こちらの店で人気のメニューです。
■おきよ 女将・高嶋利華さん
「クジラを目当てに来られる方もたくさんいらっしゃいますし、常連の方の中には、必ず鯨テキ、鯨刺しなどクジラばかりを食べる方もいらっしゃいます。」
かつて、クジラの肉は身近な食材だったといいます。
■高嶋さん
「(クジラと言えば)給食の竜田揚げのイメージです。子どもの頃に食べていたから、またそのように(身近に)なればうれしいと思います。」
しかし、現在のクジラ肉の消費量は年間1000トンから3000トン程度で推移していて、ピーク時と比べるとわずか1%ほどしかありません。国際的な批判の高まりを受け、商業捕鯨を一時、中断したためです。
その後、日本は2019年に商業捕鯨を再開しました。2024年には、捕鯨の対象に「ナガスクジラ」が追加され、およそ半世紀ぶりに国産の流通が再開されました。
ナガスクジラの流通拡大に向けて、福岡市では5日、展示商談会が西日本で初めて開かれました。
■元木寛人アナウンサー
「原料の展示コーナーでは、最高級のお肉や赤肉、皮の部分など、ナガスクジラの部位がずらりと並んでいます。」
会場には、飲食店や小売業者、市場関係者などおよそ600人が詰めかけました。注目のナガスクジラの味は。
■ダイキョープラザ・小峰康寛 専務
「本当においしいです。甘みがあります。臭みは全くないです。」
舌鼓を打つのは、福岡県内でスーパーを展開する会社の幹部です。スーパーでは、クジラの寿司や刺身などを提供しています。
■小峰 専務
「船内凍結で鮮度が非常にいいので、そのクジラを使っています。こういったおいしいものを紹介していけたらいいなと思います。クジラに対する先入観が消えました。」
すでにナガスクジラを提供している飲食店もあります。
■稚加榮 副調理長・荒田 恵さん
「(ノルウェー産の)ミンククジラを使っていましたが、取引があるところから今回仕入れたのがナガスクジラです。」
福岡市中央区にある料亭では、ことしから国産のナガスクジラも仕入れるようになりました。
■荒田さん
「おいしいので。今まで国産クジラとうたってなかったので。(今後、流通してくると、提供の仕方も)変わるでしょうね。」
クジラ肉の中でも最高峰の味と言われるナガスクジラ。今後、新たな消費の拡大につながるか、注目されています。