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シリーズ『こどものミライ』 子どもの教育格差をなくす 北九州に“誰もが通える塾”

2023年7月20日 18:04
シリーズ『こどものミライ』 子どもの教育格差をなくす 北九州に“誰もが通える塾”
子どもの教育格差をなくす 誰もが通える塾

子育てを取り巻く現状や子どもたちの成長を見つめるシリーズ[『こどものミライ』です。今回は子どもたちの“学習支援”について考えます。『教育格差』をなくそうと、北九州市のフードバンクが誰でも通える塾を開いています。

福岡県北九州市八幡東区の商店街に、水曜を除く平日の夕方、小学生から高校生まで誰でも立ち寄れる無料の自習室があります。

■高校生3年講師
「何のアニメが好き?」
■小学5年生
「ドラゴンボール。」
■高校3年生講師
「あーいいよね、ドラゴンボール。」

この自習室で毎週土曜日、個別に勉強を教えてくれる学習塾が開かれています。指導しているのは、高校生や大学生を始めとするボランティアです。

■指導の様子
「2と0.5はどっちが大きい?」
「2。」
「0.5と0.36はどっちが大きい?」
「0.36。」
「おぉ、そうそうそう。」

小倉高校3年生の後藤瞳依さんは、自ら講師に手を上げました。将来の夢は小学校の先生です。

■小倉高校3年・後藤瞳依さん
「小学校の時の経験って大きなと思っていて。(小学生の時に)親身に掛け算、九九を一緒にやってくれた先生が褒めてくれたことによって、自信がついて勉強をやろうと思えたので。」

ここは『何を聞いても何度聞いてもいい塾』です。それぞれのペースに合わせて、学習を進めていきます。

■小学5年生
「楽しいです。学校の授業と違って、楽しい感じで過ごせている。」

塾を立ち上げたのは、企業などから寄付された食品を経済的に苦しい家庭に提供する『フードバンク北九州』です。子どもの7人に1人が「貧困」と言われる中、家庭の事情などから学習塾に行けない子どもたちのために、ことし4月から本格的に始まりました。

■フードバンク北九州ライフアゲイン・原田 昌樹代表
「経済的に厳しいご家庭の人もいるだろうし、学力がほかの塾で追いつかないっていう子もいるだろうし、いろんな事情の中で、その子なりに自信をもって自分の行きたい進路を決めて、それをお手伝いしてあげる。」

公立の中学校に通う子どもを対象に、学習塾や家庭教師などにかかる費用を調査したものです。中学3年生では年間約45万円、ひと月3万7千円あまりになります。

『フードバンク北九州』が開く週4日の自習室は無料、土曜日の塾の授業料は世帯収入によって、無料から月最大4千円です。

授業のかたわらキッチンでは、子どもたちの夕食が作られていました。

■北九州市立大学 経済学部4年・古賀樹音さん
「フードバンクに寄付してくれた、冷凍ハンバーグとキャベツを使ってハンバーグプレート。」

調理しているのは、大学生や地域の人たちです。授業を終えてみんなで食べるご飯です。

■後藤さん
「何するの、休みの日?」
■小学生
「海でも行こうかな。」
■後藤さん
「海の日だしね。」

■小学生
「(Q.塾が終わって食べるご飯は?)うれしいです。」

■原田代表
「成績を上げるということは大事だけど、それ以上に、その目の前の子どもにしっかり寄り添って、塾を開いた一番の目的は、つながるためなんです。」

どんな環境でも、すべての子どもたちに勉強できるチャンスがあるのは、『こどものミライ』を支える地域のチカラです。


『フードバンク北九州』では、塾で子どもたちを指導するボランティアの高校生・大学生を募集しています。連絡先は『フードバンク北九州』のホームページか、電話番号 093-672-5347(月・水・金 午前10時~午後4時)です。