交通量の多い道路に電動車いす 警察が89歳男性を保護 車運転の女性「怖かった」
交通量の多い道路のかたわらをゆっくりと走っているのは、「シニアカー」と呼ばれるハンドル付き電動車いすです。乗っていたのは89歳の男性です。一歩間違えば事故につながる危険な場所をなぜ走っていたのか取材しました。
16日正午すぎ、福岡県粕屋町の県道で撮影されたドライブレコーダーの映像です。前方を走る車が何かを避けるようにして減速しています。
その先に見えたのは、「シニアカー」と呼ばれるハンドル付き電動車いすです。走行する車の正面から、ゆっくりと近づいていました。
車を運転していた女性に話を聞きました。
■車を運転していた女性
「怖いです。見たときはもう逆走のニュースが頭の中をよぎりっぱなしで、通報しないと事故になると思ったから。事故になる、怖い、ばっかり。」
女性はすぐに引き返し、車を降りて声をかけ、警察に通報しました。
電動車いすに乗っていたのは、近くに住む89歳の男性で、事故はなくケガ人もいませんでした。
■加藤雅大 記者
「動画が撮影されたのは、見通しのよい片側2車線のバイパスです。路側帯を見てみますと、かなり狭くなっています。」
現場となったのは、粕屋町を通る県道35号です。
警察によりますと、この道は自動車専用道路ではなく、法律上は“歩行者”扱いとなる電動車いすも通ることができます。ただ、交通量が多いため、人が通ることはほとんどないということです。
男性はなぜ、電動車いすでこの道に入ったのでしょうか。
■車を運転していた女性
「(男性は)『キャリー(電動車椅子)のバッテリーの充電がもうなくなるから、このままだと充電が切れるからUターンした』と言っていました。」
福岡県内では過去5年間で電動車いすが関係する交通事故が53件起きていて、警察は利用者に十分注意するよう呼びかけています。
電動車いすを巡っては、事故も多発しています。
NITE=製品評価技術基盤機構によると、電動車いすについては車輪が踏切内のレールに挟まって動けなくなったり、操作を誤って転落したりといった事故が報告されているということです。
NITEは事故を防ぐため、利用者の家族などが道路の状況を事前に確認することや、周囲の人の見守りが重要だとしています。