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食い違う主張 ベトナム人技能実習生「妊娠をしたら帰国させると言われた」監理団体「全く禁止していない」死産した赤ちゃんの死体遺棄事件 福岡

2024年2月27日 18:53
食い違う主張 ベトナム人技能実習生「妊娠をしたら帰国させると言われた」監理団体「全く禁止していない」死産した赤ちゃんの死体遺棄事件 福岡
食い違う主張

死産した赤ちゃんの遺体を室内のごみ箱に捨てたとして、福岡市の20歳のベトナム人技能実習生の女が27日、起訴されました。女は周りに妊娠の事実を明かしていませんでした。その背景をめぐり、受け入れを調整する監理団体と主張が食い違っています。

27日、起訴されたのは、ベトナム人技能実習生のグエン テイ グエット被告(20)です。

2日、福岡市博多区の交際相手の部屋で、その日に死産した男の赤ちゃんの遺体をポリ袋に入れ、ゴミ箱に捨てたとして死体遺棄の罪に問われています。

グエット被告は先週、身柄の拘束が続く理由を明らかにする手続きで法廷に立ち「真っ青な顔の赤ちゃんを見ているのが怖くて、つらくて。『ごめんなさい。普通の人生を送らせてあげられなくて』と話したのを覚えています」と、死産した時の状況を涙ながらに語りました。

■グエット被告を担当・池上 遊弁護士
「彼女自身ではどうしようもない状態になっているので、彼女自身が手を下して遺棄したという状況にはない。」

グエット被告は遺体を「捨てた」のではなく、気が動転して、遺体を近くのゴミ箱に「置き」、交際相手にばれないようふたをしたというのです。

弁護士や支援団体はグエット被告の不起訴を求めていました。

グエット被告は日本に来る前に妊娠し、妊娠8か月での死産だったとみられています。妊娠していること自体、周りに明かしていませんでした。

その理由について本人は「日本の監理団体などから『妊娠したら仕事にならないから帰らせるしかない』と言われていた」と説明しました。

技能実習生と受け入れ先をつなぐ監理団体などから、妊娠すれば帰国させると言われたと話したのは、グエット被告だけではありません。

2020年、熊本県で死産した双子の赤ちゃんを自宅に遺棄した罪に問われ、その後、無罪となったベトナム人技能実習生の女性も「妊娠がばれたら帰国しないといけないと思った」と話していました。

技能実習生として来日し、福岡県内に住むベトナム人女性も同じようなことを言われた経験があると訴えます。

■ベトナム人女性
「監理団体にいる時に妊娠したら帰国させるという話を言われている。もし妊娠したら日本で出産して子育てをしたいと思う。税金とか払っているので日本人と同じように考えてほしい。」

日本で暮らす外国人女性を支援する上智大学の田中雅子教授は、妊娠を理由に帰国させることはできないとした上で、次のように指摘します。

■上智大学 総合グローバル学部・田中雅子教授
「私が今まで支援した人の中では、産んだ後、あなたはどうするの?子どもをすぐに預けられるの?あなた、自分の日本語力分かっているの?とか、とにかく分かりました、帰りますと言わざるを得ないようなことをいっぱい言われる。働く労働力としてしかその人を見ていないので、自分の会社や農場のような職場で100パーセント、自分が思った通りに使えない人に対して、いなくていいという非常に単純な使い捨ての発想だと思います。」

グエット被告は「妊娠をしたら帰国させると、監理団体に言われた」と訴えています。

一方、その監理団体の代表は、FBSの取材に対し「交際や妊娠については全く禁止していない」と話しました。

さらに、グエット被告と病院で面会した際、妊娠を周りに話さなかった理由を尋ねたところ「妊娠していることに気づかなかった」と伝えられたとしています。

事件の真相究明は今後、裁判に舞台を移すことになります。