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入院患者への性的虐待「大牟田病院は私たちにとって最後のとりで」患者と同じ難病の男性は憤り 福岡

2024年5月3日 19:23
入院患者への性的虐待「大牟田病院は私たちにとって最後のとりで」患者と同じ難病の男性は憤り 福岡
入院患者への虐待 同じ難病を患う男性は

国立病院機構・大牟田病院で、男性職員が入院患者に性的虐待を行っていた問題についてです。2日、病院の会見で説明された患者への卑劣な行為。難病患者のよりどころとなる病院の裏切り行為に、憤りをあらわにする人もいます。

■日本筋ジストロフィー協会 福岡県支部長・溝口伸之さん
「ショックが大きかった。大牟田病院は筋ジストロフィーをはじめ神経筋難病の専門病院で、ある意味、私たちにとって最後のとりで。」

国指定の難病、筋ジストロフィーの福祉支援を行う溝口伸之さんです。自身も筋力が徐々に低下する病気の患者です。

大牟田病院には、筋肉が徐々に衰えていく難病、筋ジストロフィーの患者や重症心身障害の患者を専門的に受け入れる病床があります。

その大牟田病院で発生したのが、職員による性的虐待です。2日、会見で院長が説明しました。

■大牟田病院・川崎雅之 院長
「生活介助の際に女性利用者の胸をつかんだり、オムツ交換時に陰部を長時間観察するような行為を行った。」

大牟田病院では、2021年ごろから男性看護師と介護士あわせて5人が、障害のある患者の男女11人に対し、虐待が疑われる行為を繰り返していたということです。

■川崎院長
「職員が利用者の就寝時に陰部を直接もむ行為を行った。入浴介助の際に複数の利用者の陰部を素手で洗い、過剰な刺激を与える行為を行い、その際にわいせつな声かけを行った。」

大牟田病院では、患者に接する際、原則、複数の職員で対応することになっていますが、虐待が行われた際には職員1人だったということです。

被害者の中には、体を動かしづらい患者や意思疎通が難しい患者もいました。

病院の聞き取りに対し、被害者からは。

■川崎院長
「『現場では怖くて拒否できなかった』ということです。」

およそ3時間にわたる会見で、病院は性的虐待行為に対して謝罪した一方で。

■川崎院長
「『スキンシップの一環だった』と言う職員もいます。入浴介助行為でも、少し間違えれば性的虐待と捉えられる可能性もあるグレーな部分があるかもしれない。」

介護と虐待の境界が“グレー”であるとも話しました。

病院の会見を見たという日本筋ジストロフィー協会の溝口さんは。

■溝口さん
「それがその行為(性的虐待)だったのかどうかは、受け取り側がどう感じたかが一番大事。『ケアの一環で相手が思ってしまったかも』というのは苦しい言い訳だなと。」

今回の虐待行為について、職員のプロ意識が抜けていたのではないかと指摘します。

■溝口さん
「専門職としての職業倫理を高めて、プロとしての仕事への取り組み姿勢を徹底させないと難しいのかなと思う。」

大牟田病院はすでに第三者委員会を立ち上げていて、問題の原因究明や管理態勢の強化に努めるとしています。