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特集「キャッチ」リングから届ける勇気と希望 九州プロレス設立15周年 新たな時代の幕開け

2023年11月29日 18:00
特集「キャッチ」リングから届ける勇気と希望 九州プロレス設立15周年 新たな時代の幕開け
九州プロレス設立15周年 新たな時代へ
特集『キャッチ』です。「九州ば元気にするバイ!」を合言葉に活動するプロレス団体『九州プロレス』が設立15周年を迎えました。記念のリングに上がった若きレスラーとその成長を見つめてきたファン、それぞれの思いに迫ります。

おじいちゃん、おばあちゃん、そして子どもたちまで、熱狂する人々の視線の先にいるのは、故郷・九州の人々を元気にするために立ち上がった不器用な男たちです。

■リング上の選手
「ここ岡垣町から、九州ば元気にするバイ!」

10月、福岡県岡垣町でプロレスイベントが開かれました。

NPO法人・九州プロレスのリングで圧倒的な存在感を見せたのは、一番の若手レスラー・野崎広大(26)でした。170cm、135kgという体格を生かし、今や九州プロレスのエースに成長しました。

高校3年で入団(2016年)し、厳しいプロレスのリングをみずからの力で切り開いてきました。

■九州プロレス・野崎広大 選手(26)
「『野崎は毎回良い試合をする』 と言ってくれるファンの人は多かったんですけれど、そこ止まりだったんですよね、結局。それだけじゃダメだった。そうやって悩んでいた思いとかを変えたいとずっと思っていたんで。」

会場でレスラーの闘志に拍手を送るのは、福岡市で居酒屋を経営する井上雅博さん(51)です。井上さんは、九州プロレス設立の年の2008年に、自分の店をオープンしました。

■『やれんの家 まさとよ』店主・井上雅博さん(51)
「一生懸命やっているのを見て、自分も負けてられないなと。どこか同期みたいな感じの感覚は、九州プロレスに対してあります。」

九州プロレスは「地域に貢献したい」として、リングに足を運べない人にも“元気”を届けるため、これまで1900以上の高齢者施設や学校などを慰問してきました。

■井上さん
「プロレスって“生き方”だと僕は思っています。プロレスの持つ力を信じ切っているところが(九州プロレスの)最大の魅力ですね。」

設立から10周年の記念イベントの会場は、1万人を収容できる福岡国際センターでした。集まったプロレスファンは約2200人です。メインイベントを務めたのが、看板レスラーの『めんたい☆キッド』と、九州プロレスで再起を果たした『玄海』でした。

■井上さん
「10周年はもうやっぱり、たどり着いた感。プロレスってすごいんだ、プロレスってみんなを元気にできるんだ、勇気を与えることができるんだという。」

大歓声に湧く会場で、すべてをさらけ出した戦いが人々の心を熱くします。

リングで見せるのは、勝ち負けだけではありません。

■井上さん
「(両者)勝っても負けてもやりきった感を感じた。象徴的だったのが(10周年で筑前りょう太)代表が、めんたい選手に肩を貸して去って行く姿。ここまでやってきた集大成の一つ。」

福岡市の西中洲にある井上さんの店は、福岡のプロレスファンが集う憩いの場でもあります。終わりが見えなかった、あの“コロナ禍”を乗り越えました。

■井上さん
「今自分がやっている飲食店も、“プロレス”なんですよね。」

■九州プロレス・筑前りょう太 理事長
「皆様方がこの会場にいる。その思いで、わたしも選手たちも一生懸命闘いますので。」

九州プロレス設立12周年記念大会で、初の無観客試合をライブ配信しました。

■井上さん
「厳しい状況(“コロナ禍”)の中でも、次から次に(九州プロレスが)手を打っていくのを見て、励みになりました。あの時期。」

そして迎えた、ことし8月の15周年の記念大会です。

■筑前りょう太 理事長
「15年分の感謝を込めて、九州ば元気にするバイ!」

再び福岡国際センターで行われた、15周年の記念大会です。メインイベントでは、海外でプロレス修行を続けていた野崎広大が緊急帰国しました。

■野崎選手
「九州プロレスを変えていくためには、ココは俺が出ないといけないだろうという気持ちがすごく出来てきて。それで僕が3wayマッチ(3人で闘う形式)を提案して。」

10周年で対戦した『めんたい☆キッド』と『玄海』に待ったをかけ、挑戦状をたたきつけました。

■井上さん
「坊主頭の子が、どんどん大人になっていく姿。倒れても倒れても、立ち上がる姿であったり。元気ももらってますし、勇気ももらってますしね。」

■井上さん
「世代交代の儀式のように感じました。九州プロレスの第1章の終わりを感じた。スポットライトを浴びる若きチャンピオンと、誰も見ていない中、真っ暗のほうにどんどん帰って行く2人という対比が、僕は一番印象に残りました。やっぱりリングに上がっているというつもりで見て、明日からまた頑張ろうとか、終わってからこれから頑張ろうという。やっぱり自分を投影している、リングの中に。」

筋書きのない“男たちの物語”で、前を向き続けるリングが人々の心を熱くします。

■野崎選手
「年齢・若さ・経験、そんなの塗り替えれる。だからみんな、プロレスラーになりたいみんな、九州プロレスのリングで待っています。」