【不退去罪や脅迫罪に問われる可能性も…】カスハラ県内でも対策進む
最近、よく耳にするようになった「カスハラ」という言葉。
客が従業員に対して、悪質なクレーム(苦情)などを行う「カスタマーハラスメント」の略称です。
この「カスハラ」への対策が今、全国的に進められていて、県内の自治体も対策に乗り出しています。
「うるせえ!いま話しているだろうが!てめえぶっ殺すぞ」
「女には話が通じないからお前じゃダメだ。男の責任者を呼んでこい」など…
これらの言葉は、UAゼンセンのアンケート調査から浮かび上がってきたもの。
実際に客から従業員にかけられた聞くに堪えない暴言の数々です。
飲食やホテルなどサービス業が加盟する労働組合「UAゼンセン」の調査では、約半数がカスハラを経験するなど問題は深刻です。
大手コンビニエンスストアでは名札を実名ではなくイニシャルやアルファベットでの表記を選べるようにし、東京都は全国で初めて “カスハラ”の防止条例を制定する方針を示すなど対策が進んでいます。
この「カスハラ」対策は県内の自治体でも行われていて、いわき市の人事課を訪ねると、名札が名字だけに。
いわき市では、2024年に入り職員の名札を名字のみにしました。
フルネームを特定されたことによるストーカー被害らしき事案があったことや職員に脅しの言葉をかけたり、暴言を吐くという行為を重ね、自分の要求を通そうとする行為が多数見受けられたことが理由だといいます。
全日本自治団体労働組合の調査では、「カスハラ」を受けたことがある自治体職員は、およそ半数。
内容は、暴言や説教に始まり、暴力行為や金品の要求など法律違反にまで発展したケースもあるといいます。
いわき市では、県内でも先がけて職員の名札に加え、対応マニュアルを作るなど対策をしています。
「カスハラ」のような度を超したふるまいは罪に問われる可能性があると弁護士は指摘します。
あさか法律事務所・平雄一弁護士
「出て行ってくれと言っても出ていかない場合、不退去罪ということになる」
「脅かした場合、自分の言うことを聞かないとSNSに出すぞとか、どうなるかわからないぞという場合は脅迫になる」
被害を受けた人が泣き寝入りしないためにも、平弁護士はマニュアルなどを作ることが対策につながると話します。
あさか法律事務所・平雄一弁護士
「カスハラ対策のマニュアル、ルールを作るということ。従業員はそれにのっとって、上司や会社と相談する」
「会社として従業員を守るという制度を作ってもらいたい」
社会問題となっている 「カスハラ」。
もし「カスハラ」に悩んでいたら 厚生労働省の「ハラスメント相談室」がメールやSNSで相談を受け付けています。