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強制わいせつ致傷など4件の犯行…被告に懲役3年、保護観察付きの執行猶予5年 量刑の理由や犯行の手口、背景は…? 福島

2024年7月18日 10:21
強制わいせつ致傷など4件の犯行…被告に懲役3年、保護観察付きの執行猶予5年 量刑の理由や犯行の手口、背景は…? 福島
鈴木喜也被告

強制わいせつ致傷などの罪で、伊達市の無職、鈴木喜也被告に懲役3年、保護観察付きの執行猶予5年の有罪判決が言い渡されました。4件の強制わいせつ致傷事件などを起こした被告に、保護観察付きの執行猶予5年が付いた理由、そして犯行の手口や動機、背景などについて判決内容をもとに詳しくみていきます。

強制わいせつ致傷など4件の犯行


判決によりますと、鈴木被告は2020年11月13日午後10時53分頃、田村市船引町の歩道上で、当時17歳の女子高校生に対し、いきなり背後から抱きつき、スカートの中に手を入れるなどし、強いてわいせつな行為をし、通院およそ2カ月間を要する左膝関節捻挫の傷害を負わせました。

2023年1月31日午後11時55分頃には、伊達市の路上で当時20歳の女性に対し、いきなり肩に右腕を回して抱きついた上、唇を押し当てるなど、強いてわいせつな行為をしました。同じ年の8月1日午後9時43分頃には、伊達市内の女性の家の外壁を乗り越えて、ベランダ内に侵入。2日後の午後10時30分頃にも、再び外壁を乗り越え侵入しました。

犯行の手口は計画的、悪質…被害者への執着


量刑の判断についてみていきます。判決によりますと、強制わいせつ致傷事件については、夜間一人で歩いていた被害者を人気のないところまで尾行し、いきなり背後から抱きついて体重をかけるなど、計画的で危険かつ悪質な犯行としています。当時17歳の被害者が受けた性的羞恥心や精神的苦痛は大きく、被害直後は歩行すらできないほどの膝の痛みを覚え、およそ2か月間の通院を要するなど肉体的苦痛も大きかったとしています。強制わいせつ事件については、夜間歩いていた被害者の後を追い、人通りのない場所に差し掛かるや、背後から近寄り、抱きついて身動きできない状態にしてわいせつな行為をするなど、被害者が被った精神的苦痛は大きいとしています。住居侵入の2件については、夜間、後を追って被害者宅を特定した上、一人暮らしであることを確認した後、室内にいる被害者をのぞく目的で、2度に渡り、比較的高い外壁を乗り越えてベランダ内に侵入したもので、計画的で被害者への執着や犯行への強い決意が認められる悪質な犯行としています。

犯行の背景は…

鈴木被告は、元妻との離婚などによるストレスの解消や性欲を満たすためという身勝手な理由により、被害者らの迷惑や尊厳を一切顧みることなく犯行に及んだもので、その意思決定は強く非難されるべきで、この種の犯罪の常習性も認められる、としています。一方、鈴木被告は強制わいせつ致傷事件の被害者に300万円を支払って、示談が成立していること、同様の前科がないことなどを踏まえ、量刑については同様の事案の量刑の傾向が参考となります。

なぜ、「保護観察付きの執行猶予5年」なのか…

鈴木被告が一応の反省を見せていること、鈴木被告の父母らが更生のために支援したいと述べていることも考慮すると、刑の執行を猶予するのが相当であるとしています。福島地方裁判所の島田環裁判長は、鈴木被告は与えた被害の大きさや、自らの問題を十分に自覚し、向き合えているとは言えない上、父母らの監督には多くを期待できないなどとし、鈴木被告の真の更生を図るためには専門家による適切な指導監督のもとで、性犯罪再犯防止プログラムを受けさせることが特に有益であると考えられるとし、刑の執行猶予の期間中、保護観察に付すると判断したということです。