「まだ廃炉の先が見えていない」処理水海洋放出からあすで1年…福島の漁師の思い 福島
美しい夕焼けに照らされた相馬市松川浦。穏やかな海岸線に沈む雄大な太陽、そして夕焼け空が水面に反射し、幻想的な景色が広がっています。
処理水の放出が始まってから8月24日で1年となります。引き続き、第一原発の廃炉、そしてそれと向き合う福島の漁業について考えていきたいと思います。
福島第一原発では22日、2011年の原発事故の後、初となる燃料デブリの取り出しが始まる予定でしたが、手順にミスがあり延期されるといった動きもありました。事故から13年が経ってもなお、廃炉の最難関であるデブリの取り出しは進んでいません。去年8月、福島第一原発で始まった処理水の海洋放出。この1年で合わせて7回の放出が完了し、これまでに海水や魚の調査で異常は確認されていません。放出開始から1年を前に先日、公開された廃炉の現場。処理水の放出は廃炉に欠かせないと東京電力は説明します。そのワケがー
■大川悠輔 記者
「処理水の放出が進むことで、こちらの空になったタンクは今後解体され、取り出したデブリを一時保管する施設が整備される」
第一原発の敷地を埋め尽くす処理水などを保管するためのタンク。その数、およそ1千基。処理水を放出することでタンクの解体を進め、空いた敷地には今後、取り出しが予定される燃料デブリを一時保管する施設などを整備します。「廃炉を進めるため」の処理水の放出。ただ、この動きを複雑な思いで見ているのが県内の漁業者です。
■相馬市 漁師 石橋 正裕さん
「廃炉に向けた処理水の放出なので、まだ廃炉の先が見えていないので、すごく不安」
心配されていた県産の水産物に対する風評は確認されていません。ただ、処理水の放出、そして廃炉の完了までには30年から40年かかるとされていて、一度、原発でトラブルが起きれば、風評が再燃する可能性も否めません。
■相馬市 漁師 石橋 正裕さん
「できる限り廃炉を一日でも早く進めてもらって、自分たちの漁業が安心して行えるぐらいまでは廃炉をしっかりと取り組んで欲しい」
これからも続く廃炉までの長い道のり。福島の漁業者はこの問題と向き合いながら漁を続けます。