"原爆の父" オッペンハイマーの孫が広島訪問 「今こそ祖父の主張に耳を傾けるべき」 被爆者の小倉桂子さんと面会
原爆の開発を主導した物理学者ロバート・オッペンハイマーの孫が広島を訪れ、被爆者と面会し、核戦争を避けるためにできることをしないといけないと語りました。
広島市役所では、原爆死没者名簿への記帳が始まりました。被爆者で元広島市職員の2人によって新たに書き加えられるのは去年8月6日以降に死亡が確認された4000人余り。名簿は、平和記念式典で原爆慰霊碑に納められます。
■原爆死没者名簿に記帳 池亀和子 さん
「祖母、父、母、みんなの名前を書いてきた。あと残っているのは私と弟だけ」
原爆の犠牲者が眠る平和公園。
6月1日、1人の男性が訪れました。アメリカから来日したチャールズ・オッペンハイマーさんです。
祖父のロバート・オッペンハイマーは、原爆を開発した「マンハッタン計画」を主導した物理学者で、「原爆の父」と呼ばれました。
■ロバート・オッペンハイマー
「今や、我は死なり、世界を破壊する者なり。私たちの誰もがそう感じたでしょう」
その生涯を描いた映画は、アメリカのアカデミー賞で作品賞など7部門を受賞。3月から日本でも上映されています。
被爆地でも注目される中、広島を訪れた孫のチャールズさん。
被爆者の小倉桂子さんと面会し、去年開かれたG7広島サミットの記念館を見学。小倉さんがG7の首脳と対面した時の話に耳を傾けました。
■小倉桂子さん
「私はG7首脳に何を話そうかずっと考えていた。彼らは世界に影響を与える力を持っているから」
■チャールズ・オッペンハイマー
「小倉さんの話に感銘を受けた。核戦争の脅威が続いていることは最も危険。世界を終わらせるような争いを避けるために、私たちは緊張や対立を緩和するために行動しなければならない」
小倉さんの手帳には、チャールズさんからのメッセージが記されていました。
広島への旅を終えたチャールズさん。東京の日本記者クラブで会見し、「祖父は核の脅威に対処するため、世界の協力が必要だと訴えていた。今こそ、祖父の主張に耳を傾けるべきだ」と語りました。
【2024年6月3日放送】