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【特集】G7広島サミットから1年 岸田文雄首相が語る成果と決意

2024年5月16日 16:37
【特集】G7広島サミットから1年 岸田文雄首相が語る成果と決意

広島テレビは読売新聞と共同で、G7広島サミットに深く関わった関係者にインタビューを行いました。初回は岸田文雄首相です。

サミット初日のG7首脳による原爆資料館訪問について

■岸田文雄首相
「時間的な制約がある中で、いかに被爆の実相を心穏やかに感じてもらうか。これは、重要なことであると思って取組みました。実際、アメリカの大統領のみならず、各国、特に核兵器国の国内世論というのは、複雑なものがあります。しかし、その中にあっても、各国リーダーに静ひつ、かつ厳粛な雰囲気の中で、被爆の実相に触れてもらう。このことを心がけました。公開するか非公開にするか、あるいは見てもらうメンバー、できるだけ各国首脳に絞る、限定する、このあたりに難しさがあったと振り返っています。小倉桂子さんの話についても、各国リーダーとも真剣なまなざしで話を聞いてもらいました。このあたりは、芳名録に記された各国のリーダーのメッセージの中にもあらわれているのではないかと思っています。」

G7広島サミット最終日、ウクライナのゼレンスキー大統領参加の経緯について

■岸田文雄首相
「広島サミットに先立って、3月に私自身、ウクライナを訪問し、ゼレンスキー大統領にお会いした際に、サミットへの参加の要請を行いました。当初は、オンラインでの参加ということでありましたが、大統領本人の強い希望もあり、対面での出席を検討することとなりました。世界のどこであっても、力による一方的な現状変更、これは許してはならないということ。国際法を犯して侵略を受けている国のリーダーに対面で参加いただき、思いを、そして実情を訴えていただく。これは議論の重みを得る上でも、大きなことだったのではないかと思います。」

サミットでとりまとめた核軍縮の文書「広島ビジョン」

「広島ビジョン」の核抑止を肯定する内容に、被爆者などから批判の声が出ていることについて聞きました。

■岸田文雄首相
「ロシアによる核威嚇ですとか、北朝鮮による核ミサイル開発ですとか、中東においても大変複雑な動きが続いています。こうした厳しい現実があるからこそ、唯一の戦争被爆国として現実的で、そして実践的な取り組み、核兵器国もしっかりと取り込んだ形で核兵器のない世界に向けて努力を続ける。このことは大事だと思います。様々なご指摘があるということはもちろん承知はしていますが、核兵器のない世界という大きな理想に向けては、皆さん目標を共有できていると思っています。そのためにそれぞれの立場で努力していくことは大事だと私は思っています。」

Q.ウクライナに加え、イスラエルでも戦火が広がり、中国・北朝鮮の挑発行動に続き、核の脅威はこの1年でさらに高まっているという指摘もあります。この広島ビジョンが目指す世界は、この1年で前進したのでしょうか?

■岸田文雄首相
「現実は大変厳しい国際安全保障環境の中にあります。しかし、だからこそ、再び核兵器のない世界を目指すという機運を盛り上げていかなければならないと強く思っています。2023年9月に、私は国連総会の機会に合わせてCTBT(包括的核実験禁止条約)フレンズのハイレベル会議を開いて、再びCTBTの早期締結に向けての機運を盛り上げる、こうした取り組みを進めました。そして、今年3月にはFMCT(核兵器用核分裂性物質生産禁止条約)フレンズという新たな枠組みを立ち上げました。現実は大変厳しいわけですが、この核兵器国も含めて、テーブルにつかせることは、より重要になっていると思っています。アメリカ、イギリス、フランスを始めとする核兵器国もテーブルに着かせるということで、具体的な取り組みを進めてきた。厳しい現実があるからこそ、こういった取り組み、より日本は唯一の戦争被爆国としてしっかりリードしていかなければならない、このように思っています。」

広島サミットでの成果を踏まえ、今後どのように取り組んでいくのか?

■岸田文雄首相
「核兵器不使用の歴史、これをこれからもしっかりと続けていかなければならないということ。そして2つ目として、核兵器の透明性を高めること、そして3つ目として、核兵器の数を減らすという先人たちがずっと続けてきた努力、これを続けていかなければなりません。また、アジアや中東で今、懸念されている、この核の拡散。これに対しても、やはり核の不拡散、これも続けなければならない。5つ目は、まさにこうした核兵器のない世界を目指す取り組みの全ての取り組みを、原点は、核兵器の実相に触れてもらう、被爆地を訪れてもらうことであるということ。大きくは5つの項目をヒロシマ・アクション・プランとして、これを具体的に進めていく。これが我が国として責任を持って取り組まなければならない道のりであると考えています。」