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能登半島地震から1か月 支援や視察のため被災地へと赴いた5人のエキスパートに聞く【徳島】

2024年2月1日 20:30
能登半島地震から1か月 支援や視察のため被災地へと赴いた5人のエキスパートに聞く【徳島】
元日に発生した石川県の能登半島地震から1か月。

徳島県内からもそれぞれの専門分野のエキスパートが、支援や視察のため被災地へと赴きました。

フォーカス徳島では今回、現地入りした5人に話を話を聞きました。

被災地の実態、そして私たちが南海トラフに備えるための教訓とは。



■被災地で支援を行ったエキスパートに聞く



1月1日午後4時10分、能登地方を震源とする最大震度7の地震が発生しました。

マグニチュード7.6、石川県を中心に多くの家屋が倒壊し、大規模火災も発生しました。

断水や停電が相次ぎ、今も多くの人が避難生活を続けています。

被災地までの道路が寸断されるという過酷な状況の中、徳島から救助や医療、炊き出し支援、視察など様々な目的のために現地入りした5人のエキスパートに話を聞きました。



■救助活動にあたった徳島県警機動隊に聞く



(救助活動にあたった徳島県警機動隊 美馬州一 巡査)
「電柱も今にも倒れそうな状況でしたし、それこそ、家の中のものが散乱した状態、そのままの状態」

徳島県警機動隊の26人は、広域緊急救助隊として1月4日から3日間、石川県珠洲市で取り残された人はいないかを調べるため、倒壊した家屋を周りました。

(救助活動にあたった徳島県警機動隊 美馬州一 巡査)
「幸いにも、担当の区域には救助しなければいけないというのはなかった」

しかし、被災地の救助活動には想定外の事態もありました。

(救助活動にあたった徳島県警機動隊 美馬州一 巡査)
「電波も中々通らない場所であったし、無線機も途中で途切れたりする場面があって、情報共有がスムーズに行えない状態だった。能登で経験したことをこれからの訓練に、どうやったら救助活動をうまく行えるか考えて活かしていけたら」



また、避難所には医療の支援も欠かせません。


■被災者の健康管理などにあたった保健師チームに聞く



(東部保健福祉局 徳島保健所 堂免佐織 主任)
「お薬も飲んでいるけど、慣れない避難所生活でストレスがたまったりとか、食生活も変わってきているので、血圧がとても高くなっている方がすごく多くいらっしゃいました」

徳島からも交代で保健師チームが派遣されています。

被災者の相談と健康管理にあたっていますが、とりわけ衛生管理が難しくなっているといいます。

(東部保健福祉局 徳島保健所 加治明子 課長)
「断水は非常に衛生状態を保つにしても、難しい問題だと思いました」

(東部保健福祉局 徳島保健所 堂免佐織 主任)
「窓を開けられないので、小さい換気扇で換気しているとハード面での感染対策の難しさも感じました」

石川県では8つの市と町で、いま現在も4万戸で断水が続いてます。

一方、高齢の被災者はまた別の問題を抱えていました。

(東部保健福祉局 徳島保健所 加治明子 課長)
「避難所で役割がなければ横になりがちだったりして、そこから寝たきり状態になって、身体が衰弱する方もいらっしゃるのかなと。エコノミークラス症候群だったりとか、肺炎だったりとか、感染症とか、食中毒とか、そういったことが起こりやすいということを事前に住民の方に知っていただいて、普段から私たちの活動の中で正しい知識を地域の方に知っていただく必要があるのかと思いました」



民間からも要請を受けて現地へ赴いた人がいます。


■輪島市を中心に炊き出し支援を行った人に聞く



(徳島県キッチンカー協会 北條誠一 理事)
「街中は倒壊している家屋そのものです。電線とかが垂れ下がって、キッチンカーって背が高いじゃないですか。なので、それを縫うように普通に道だけでなくて、電線が垂れているところも気にしながら行くような、そういうふうなところが一本大通りからそれるとなっていた」

徳島県キッチンカー協会の北條誠一さんです。

県からの要請を受け、16日から3日間、輪島市を中心に炊き出し支援を行いました。

(徳島県キッチンカー協会 北條誠一 理事)
「地震から魚を口にしたのが初めてです。っていう声が聞けて、その方、3回お代わりしました。瞬間冷凍したものを提供できたのは、今は自分たちしかできないかなと思いました。」

災害時であっても、食事の選択肢として、保存食以外のものを提供したいという北條さん。

災害早期に駆け付けることのできる、4WDのキッチンカーを平時から活用しています。

その4WDキッチンカーを今回、被災地で役立ててもらおうと貸し出す形で置いてきました。

(徳島県キッチンカー協会 北條誠一 理事)
「キッチンカーを台所として貸し出してくる。これは新しい取り組みとして、キッチンカーを置いてきた。キッチンがあれば、自分たちで食事を作ることができる。これって、自立支援復興からいかに自立に移行していくか、そのフェーズを作っていくか。環境があれば動くので、久しぶりに包丁を握った、料理をすると、そこでコミュニティが生まれる。励ますということもそうですけど、日常も感じられる。我々がサポートするのは被災地支援ではなく、復興支援常に備えるということを考えておかないと、災害が怖いのでなくて、復興しないのが怖い。僕はそう思う」


■地域防災を専門とする徳島大学の教授に聞く



地域防災を専門とする徳島大学の上月康則教授は、道路が寸断された現状を見て、支援を受け入れるための備えが必要だと話します。

(徳島大学環境防災研究センター 副センター長 上月康則 教授)
「震度7とか6強となると、その地域全体が被災者になる。誰が支援が回るんだということになってきますよね。そういった意味で、外部から助けてもらわなければならないんですが、今回の能登半島地震もある程度ボランティアを断ったり、外部からの支援を断らざるを得ないという状況に陥るので、それは少し想定外でした。そういったところで、支援を受ける力を受援力というのですが、受援力を地域や行政は高めていく必要がある」

現地を視察して災害では、想定外のことも起こりうると再認識しました。

(徳島大学環境防災研究センター 副センター長 上月康則 教授)
「日ごろの訓練を活かして命が助かる、ということを聞いたことはあります。とはいいながら、街を見ていると家が道に倒れこんでいたり、ブロック塀が多数倒れていたりするんですね。ブロック塀が倒れていて、その道を使えなかった、道を使わずに避難した、という方もいらっしゃった。徳島なんかも、細い道を避難路に考えている方、ところもたくさんあるので、もう一度見直してその対策は今からしておく必要がある。想定する災害のイメージをここは大丈夫だろうと、だろうではなくて、ここはダメかもしれないと思って避難訓練することの重要性を今回は感じました」

南海トラフに備え、得た教訓とは。

(徳島大学環境防災研究センター 副センター長 上月康則 教授)
「今回の地震では、大きな地震で道が壊れている。南海トラフでは、国道自体が津波で被災することが想定されている。より一層、道路被害が深刻になる。阿南であったり、小松島でも孤立化する地区が多数出るかもしれない。徳島市内も川の多い街なので橋がたくさんある。市内であっても、孤立化してしまう。そういう危険性がある。今回も断水が解消されるまで数カ月かかるとか、道路も年単位でかかるとか、港に関しても、もっと使えるようになるまでかかるということで、そういうことが起こるということを目の当たりにしているので、教訓にしてもらいながら徳島の場合も、南海トラフに備えていかないと思います。それにあたっては、平時からきょうからできることをやっていく必要がある」

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