別れ強いられた母への思い込めた作品も 菊池恵楓園絵画クラブ作品展 医学部で開催の理由は
会場に並ぶ水彩画や油絵。国立ハンセン病療養所菊池恵楓園の絵画クラブ「金陽会」の作品24点です。
■畑中香保里キャスター
「全国各地で行われてきた金陽会の作品展。今回、初めて医学部にある図書館の一角で開催されています」
熊本大学医学部の中で開かれた理由は…。
■熊本大医学部解剖学 福田孝一教授
「歴史に向き合って、なぜ起きたのかを自分たちの問題として捉えることが大事」
かつて、ハンセン病は遺伝するという誤った認識により、患者が堕胎や断種を強いられました。熊本大学医学部の前身の熊本医科大では、昭和の始め、療養所の入所者の骨格標本を作製した問題も起きています。
■熊大医学部解剖学 福田孝一教授
「絵がそれぞれの人の心に訴えかけるものがきっかけになって、患者さんによりそう気持ちにつながるのではないか」
矢野悟さんの作品「母子」。白馬の親子を描いたこの作品には、別れを強いられた母への思いが込められています。
■学芸員 藏座江美さん
「作者が、『自分もこういう風に母親に甘えたかったですよ』と、ぽつっとおっしゃった」
奥井喜美直さんが描いた作品「家族」には、堕胎させられ抱くことができなかった我が子の姿が。
■医学部2年生
「作品を描いた方がどんな思いで作品を描いたのかと考えると、差別などを絶対にしないような人間でありたいと思います」
ハンセン病を心で学ぶ作品展。5月15日まで熊本大学医学教育図書棟の図書館で開かれ、一般の人にも開放されています。
(午前9時~午後6時、最終日は午後1時まで・入場無料)